もはや「ポストコロナ」という言葉も忘れるくらい、2024年にはかつての日常が戻ってきました。様々な消費行動や外出機会が復調しつつあった今年。企業はどのようなマーケティング戦略を取ってきたのでしょうか。2024年、月刊『宣伝会議』が取材してきた事例を元に、ヒットの背景を振り返ります。
2024年のヒット商品の背後にあるマーケティング戦略
戦略 01 顧客理解の「解像度」を高める
いわゆる「BtoC」と呼ばれるメーカーでも、食品や飲料などは間に卸や小売店が入る、BtoBtoCモデルの流通形態。長く愛され続けてきたロングセラーの商品でも、誰が買ってどのように食べているのか、実際のお客さまを十分に理解できないという状況が当然のこととして続いてきました。しかしながら、メーカーであっても顧客と直接の接点を持つことができるデジタル化が進んだ環境においては、改めてデータをもとに顧客理解の解像度を高める取り組みが進んでいます。簡易なところではSNSを使ったソーシャルリスニングは、実際の商品の使われ方を知る機会になりました。
またリテールメディアが注目されるように、売りの現場の情報がメーカー側にも提供されるようになり、お客さまの実態がより把握可能になっています。そうした中で、BtoBtoCモデルのメーカーであっても、改めて徹底的な顧客理解に基づくマーケティングという原点への回帰が色濃くなってきていると言えそうです。
戦略 02 所有より利用の価値を重視
「所有」よりも「利用」の価値が重視されるシェアリングエコノミーの浸透をはじめ、近年はモノや特定のブランドへの執着が希薄化する「リキッド消費」の傾向が強まっていると言われます。…