若年層を中心に、世界的に一大エンタメ市場を構築したゲーム。しかし、その広告市場については、まだまだブルーオーシャンと言える。ユーザー体験を損なわない「ゲーム内動画広告」という新たな手法が注目を集めるなか、ゲーム内やメタバース上の動画広告プラットフォームを運営するアドバーチャ 代表取締役CEO 水野征太朗氏に、その可能性と展望を聞いた。
Z世代が熱を上げる巨大市場 ゲーム内広告の潜在力とは
Z世代向けのアプローチに悩む企業にとって、見逃せない存在となっているのがゲームという空間だ。「ファミ通ゲーム白書2024」によると、2023年の国内市場規模は2兆円を超え、5553万人のゲーム人口を抱える巨大市場へと成長を遂げている。【図1】からも、若者がSNSやストリーミング配信と同じくらいの時間をゲームに使っていることが分かる。しかし、可処分時間割合に対する広告費を見ると、SNSと比較して約3割も少ないのが現状だ【図2】。
「まだゲーム広告市場はブルーオーシャンである」、そう語るのはアドバーチャ 代表取締役CEOの水野征太朗氏だ。同社が提供する「Ad-Virtua(アドバーチャ)」は、ゲームやメタバース空間内の看板などに動画広告を掲載できるプラットフォームで、300以上のタイトルに導入されている。水野氏は、「ゲーム内広告は、既存メディア離れが進む10~20代の特に男性への効率的なリーチができること。またOOHやテレビCMなどに比べると広告の出稿費用が安価にもかかわらず、ゲーム体験を阻害せず嫌われづらい。かつ記憶に残りやすいのが大きな特徴です」と語る。
図1 世代別可処分時間の構成割合
図2 SNSを100とした場合の各メディア可処分時間あたり広告費
ユーザー可処分時間割合(※1)および媒体別広告費(※2)より算出
実況動画やSNSとの相性抜群 ユーザー体験を損なわない広告
ゲーム内動画広告の最大の強みは、ゲームの背景に自然に溶け込むため、ユーザーの反感を買いにくいことにある。「従来のゲーム広告は、ゲームの合間に全画面で動画広告を表示するインタースティシャル広告が主流でした。しかし、このような広告はユーザーにとっては鬱陶しいだけ。そこでAd-Virtuaはゲームの世界観を損なわず、ユーザーにストレスを与えない形で広告を露出することにこだわっています」(水野氏)。
デジタル・アドバタイジング・コンソーシアムの調査によるとゲーム内広告は従来型のWeb広告と比較して、ブランドリフト効果が高いというデータもある。イギリスの通信事業社TalkTalkが実施した調査では、従来型のWeb広告と比較して、広告想起率(※3)約1.8倍、注目度(※4)約1.7倍、視認率(※5)約1.4倍など、ブランドリフト効果に関するさまざまなKPIで高いパフォーマンスを示し、84%のユーザーが「このような広告手法はゲーム体験に適している」と回答した。
「近年、ゲーム実況がYouTubeやTikTokの人気コンテンツとなっていますが、実況動画内でもゲーム内広告は非常に有効です。ゲーム内広告は他の動画コンテンツと比べて、自然とゲーム内に映り込むため、広告が映った部分をカットされてしまうことは滅多にありません。そのため、実況動画を通じて広告へのリーチが拡散しやすいのも特徴です。それが切り抜かれて、XなどほかのSNSで話題になれば、ゲームをしない、より多様な層にも届けることができます」。実際に、アドバーチャのWebサイトの二次元コードと「アドバーチャで検索」という文言を表示した広告を出稿していたインディーゲームがYouTuberに実況された際、動画投稿日の同社のWebサイトへのアクセス数は約4倍に増加したという。
動画広告を配信する際は、Ad-Virtuaのプラットフォームにアクセスし、配信期間や予算、対象ユーザーの属性などを選択し、動画ファイルをアップロードするだけ。審査後(最長3日ほど)、広告配信が開始される。ターゲットがゲームユーザーであるため、現在の広告主はゲーム会社が中心だが、ボートレースやWi-Fi回線、新興SNSの広告など、ゲーム以外の広告事例も増加しているという。
さらにアドバーチャは2024年9月末、電通のグループ会社であるfluctが運営する「fluct SSP」との連携を開始。アドバーチャの広告枠をより多くの広告主に提供できるようになった。今後もほかのアドネットワークとの連携を進めていくほか、海外展開も視野に入れる。
「ゲーム内広告は、世界的に注目されている市場です。日本発のゲーム内広告プラットフォーマーとして、グローバル市場でも存在感を高めていきたいと考えています」(水野氏)。
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