日々、多くの人が楽しむブラックコーヒー。しかし、『UCC BLACK無糖』が誕生した1994年当時の日本では、ミルク入りコーヒーが主流だった。UCC上島珈琲ではそれに先立つ1987年にブラックコーヒーを発売していたが、市場に受け入れられることはなく販売を終了したという。
それでも同社が『UCC BLACK無糖』の発売に踏み切ったのは、「コーヒー専業メーカーとして、砂糖やミルクで味をごまかさない無糖コーヒーをつくりたい」という想いがあったから。そんな想いが結実し、1987年当時は苦戦を強いられた無糖の缶コーヒーだったが、『UCC BLACK無糖』は前身の商品とは違った道筋を辿ることになる。一部の消費者から評判が良く、小売店に「『UCC BLACK無糖』は取り扱っていないのか」という問い合わせが複数入ったのだ。
「当時のコーヒーは、肉体労働の疲れを癒すために飲むことが多く、甘さのあるミルク入りの商品が求められていました。しかし、『UCC BLACK無糖』を発売した時期には健康志向の消費者も増えてきており、彼らに好評を博したことが、『UCC BLACK無糖』が市場に定着する大きなきっかけになったと捉えています」...
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