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ゲーム特有の没入感でブランド体験を進化 ARROVAの「プレイアブルブランディング」

ARROVA

コラボレーション企画やプロダクトプレイスメント、あるいはプレイ空間への広告出稿など、企業が新たな生活者接点としてゲームを活用する事例が増加している。ARROVAの代表取締役社長・荒井浩介氏は、ゲームを活用した新たなマーケティング手法として「プレイアブルブランディング」を提唱。単なるコラボレーションからさらに踏み込んだ活用方法を提案する。

Story TellingからStory Playingへ

情報があふれる現代社会において、生活者の記憶に残る広告づくりはますます難しくなっており、特に若年層においては『広告回避行動』という言葉も出始め、広告をリーチさせることすら難しくなっているのが現状だ。

こうした課題に新しい解決策を提示するのが、2023年に創業された博報堂DYグループのゲームメディア専業マーケティングエージェンシーのARROVAだ。同社は、2020年に代表取締役社長の荒井浩介氏が博報堂DYメディアパートナーズ在籍中に事業起案、会社化に至る。荒井氏は「私自身もZ世代ですが、周囲に『広告は避けるもの』といった認識を持つ人が多いことを残念に思っています。本来、広告は人々の気づかない内なる欲求や新しい発見を提供する装置。人々が自ら見たい・触れたいと思うような面白い広告体験をつくりたいと考えています」と話す。さらに、「SDGsへの意識の高まりなどから、消費者が企業の社会課題に対する姿勢もシビアに見るようになっています。パーパスのような思いを伝えるだけでは不十分で、具体的にどんな活動をしているのか、まで示す必要性が生まれていると言えるでしょう。とはいえ、タイパを重視する若年層に、そうしたメッセージをじっくり読み込んでもらう時間はつくってもらえない。そこで考えたのが、世界的に広まるゲームの力を活用することでした」と説明する。

加えてSDGsなどの取り組みは、現在、行っている活動で社会をどう変えたいのか。まだ見ぬ世界を描き、見せていく必要がある。ある意味で、未来の“疑似体験”が必要とされる場面で、ゲームならではのシミュレーション力も生きてくるのだ。こうした着眼をもとにARROVAが提唱するのが「プレイアブルブランディング」というアプローチだ。そのアプローチとはコンテンツ化された広告を楽しみながら、ブランドに触れる、あるいは商品・サービスを疑似体験してもらうことで、より強く記憶に残る体験をつくることができるというものだ。

ここで重要なのが、「魅力的なIP・世界観」「没入できる」「印象的にメッセージを体感する」「コミュニティがある」という4つの構成要素。これらはまさに、「ゲーム」に内包されるものと言える。

ARROVAが提唱するプレイアブルブランディングの概念図(同社Webサイトより引用)。

世界で30億人を超える巨大市場 ゲーム広告費も拡大予測

ゲームを活用するもうひとつの理由にグローバルマーケットとコミュニケーションを持てる手段であることもあげられる。

ゲームは今や世界で30億人を超えるユーザーを抱える巨大市場となっている。日本国内だけでも、そのユーザーは5000万人以上で特に利用率が高いZ世代やα世代は、可処分時間の約2割をゲームに費やしており、もはや“サブカル”とは言えない存在になっているのだ。世界的なゲーム人口の規模を考えれば、没入感とリーチのスケールの双方が実現可能と想定されるが、ゲームの特性上、「ゲーム実況」などを通じてSNSでの二次拡散も見込まれることも強み。「二次拡散、三次拡散と広がり、トータルでは数千万インプレッション、ということも珍しくありません」と荒井氏は説明する。

加えて「ゲームが持つIPコンテンツや世界観を企業ブランドや商品を紐づけることで、生活者にとってより印象的なコミュニケーションも可能になります」と説明する荒井氏。

2024年2月には、TBWA \ HAKUHODO Nissan Unitedと連携し、日産自動車によるスマホ向けゲームの「ポケモンGO」内での同社の新型「日産ノートe-POWER」のゲーム内3D広告を展開。「ポケモンGO」のマップに表示されるバルーンをタップすると、ARで目の前に旧型のノートが現れ、ポケモンの進化時のエフェクトとともに新型のノートに進化する。車をいろいろな角度から見たり、カラーバリエーションを楽しんだ後は、ゲーム内のアイテムがもらえ、さらに公式HPへのリンクが出現するという流れだ。

日産自動車「ノート」の3D広告事例

「結果的に、接触者においては、車種への認知が上がっただけでなく、サイトへの流入も促進されて販売店の検索にも繋がりました。ゲーム内で新型車種を“体験”したことで解像度が高まって来店へ寄与したと考えられます。いわば、ゲームのお約束である“進化”という文脈をうまく使って、どこが“進化”したのか?と興味を持って情報に接触してくれることがわかりました」(荒井氏)。

この事例のように、単純なゲーム内の広告枠の出稿だけでなく、プロダクトプレイスメント的なオリジナル展開ができることもゲームメディアを使ったマーケティングの面白さのひとつ。加えて、「Roblox」のようなユーザー自身がつくったゲームを公開できるプラットフォームの場合は、自社オリジナルのゲームを制作・公開することも可能だ。

さらにその活用目的もマーケティングにとどまらない広がりを見せている。「企業ブランディングにリクルート広報など、商品・サービス訴求のプロモーション以外の用途での活用も増えています」と荒井氏は話す。

このように、世界的にゲームを活用したマーケティング、さらにコーポレートコミュニケーションは注目されているが、荒井氏は「日本企業ならではの活用可能性があるはず」とも語る。

「日本は様々な世界・設定・ストーリーをつくってきたIP大国と言えます。そして、そのコンテンツの中で、国境を越えて愛される、非言語的な共通認識をつくり、結果として数々の人気のキャラクターも生み出してきました。私たちが提唱する『プレイアブルブランディング』に、言語の壁を越えて人々を夢中にさせる日本のIPが培ってきた力を掛け合わせることで、日本ならではの新しいマーケティングが発信できるはず。ARROVAの活動を通じて、“広告”をもっと面白く人々をさらに惹きつける、熱狂できるものにしていきたい」と荒井氏は展望を語った。

ARROVA
代表取締役社長
荒井浩介氏

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