「さくっと狂言」「kyogen lounge」など、伝統にトレンドを取り入れた“新しい狂言”の発信にも意欲的に取り組む、能楽師狂言方大藏流の大藏基誠さん。自身も広告に起用された経験を持つ大藏さんは、狂言の成り立ちと広告に意外な関係性を感じていると言う。大藏さんのコミュニケーションに対する考えを聞いた。
狂言舞台にDJブースを設置 初心者でも楽しめる空間を演出
中世の庶民の日常などを題材に、人間の習性や本質を鋭く切り取った喜劇「狂言」。700年以上の伝統を持つ狂言の流派のひとつ「大藏流」の狂言方である大藏基誠さんは、自身の舞台公演はもちろん、そのほかに日本の伝統芸能の普及活動に精力的に取り組んでいる。舞台は国内外で年間100本もの公演を行っているほか、映画やテレビドラマに俳優として出演したり、ラジオ番組のパーソナリティを務めるなど、マルチに活躍している。
大藏さんは25世大藏彌右衛門の次男として1979年に誕生。4歳で初舞台を踏み、以後は多数の公演に出演。「末広がり」「那須の語」「三番三」などを披く。「狂言師として後世に伝えていくことを使命に、日本の伝統芸能の灯を絶やさずにつなげていきたい」と話す大藏さんは、若い人に関心を持ってもらおうと、ファッション雑誌などの異ジャンルとのコラボレーション企画を実施。伝統を重んじながらも時代のトレンドを取り入れた、柔軟性ある普及活動を行っている。
「最初の取り組みは2005年に企画した初めての自主公演で、『さくっと狂言』という初心者でも楽しめる舞台をプロデュースしたことです。2011年には、狂言とpartyを融合させたライブイベント『kyogen lounge』を開催。…