戦乱期のマルチアーティストで総合プロデューサーの光悦に学ぶ
「本阿弥光悦の大宇宙」展(東京国立博物館)を見てきた。光悦は、戦国末期から江戸初期に生きた数寄者(芸術に魅せられた者)で、書・陶芸・漆芸・能楽・茶の湯など多くの分野で優れた作品を残し、日本文化の礎を築いたひとりとされる。
高校生の頃、辻邦生氏の『嵯峨野明月記』に夢中になった。光悦と、建仁寺の「風神雷神図」などで知られる絵師・俵屋宗達、京の豪商・角倉素庵が互いの求める美について語り合う物語である。メディア研究者になって、「嵯峨本」のすごさに、改めて心を打たれた。嵯峨本とは、…
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