昨年誕生した、北米で開催されるマーケティング特化型カンファレンス「POSSIBLE」が今年もマイアミで開催された。今年は、Walmart、Coca-Cola、マクドナルド、GE、ユニリーバ、キャンベル・スープなどの米国有力ブランド企業が登壇。リテールメディア、生成AI、経営戦略とブランディング活動、そしてサードパーティークッキー問題について多くの発信がなされた。本稿では、米国の有力なマーケターや業界人がPOSSIBLEでどのような発信をしていたか、ダイジェストを電通の森直樹氏がレポートする。
WalmartとCoca-Cola リテールメディアの取り組み
まずは昨今、話題のリテールメディアについての議論からレポートしよう。今年のPOSSIBLEは、Walmart、Targetなど米国巨大小売企業によるセッションや、Coca-ColaとWalmartの対談セッションが行われ非常に注目のテーマとなっていた。
WalmartのEVP兼チーフ・レベニュー・オフィサーであるSeth Dallaire氏が基調講演を担い、リテール・メディア・ネットワーク(RMN)は、マーケティング戦略を再構築する極めて重要なプラットフォームとして台頭していると主張した。RMNの登場によって小売業界は大変革期が訪れ、小売業が単に商品を販売するだけでなく、強大なメディア事業体になっているという。
さらに、WalmartとCoca-Colaが対談し、Walmartのリテールメディア部門であるウォルマート・コネクトは、従来の広告から、オンラインと実店舗の両方で顧客を取り込むデータ主導のアプローチへの移行を推進しているという。このアプローチによって、売上を促進するだけでなく、ブランドの認知度や顧客ロイヤルティの向上に貢献しているというのだ。Walmartの主張では、現代のリテールメディア戦略は、ディスプレイ、動画広告、高度なDSP統合など、幅広いデジタルタッチポイントを包含し、オンライン・オフラインのさまざまなチャネルにおいて、消費者と広範で総合的なエンゲージメントが促進されていると主張した。…