鰹節専門店のにんべんの創業は1699年(元禄12年)。以後、300年以上にわたり、鰹節に携わり続けてきた。
しかし1950年代になると、うま味調味料が普及。家庭で削った鰹節から、だしをとる習慣は薄れていった。一方で、店頭で削った鰹節を袋に入れて販売する事業者は以前からあったが、鰹節は削った瞬間から酸化が始まり風味が落ちてしまうため、その品質は芳しいものではなかった。
いかにして品質を落とさずに、消費者の食習慣の変化に対応した商品を開発できるか。この課題を解決するべく開発されたのが、1969年に発売した「フレッシュパック」だ。開発が始まったのは発売の11年前の1958年。「鰹節を酸素に触れさせないための技術開発が思いのほか難航し、これだけの時間を要した」と経営企画部広報宣伝グループの會田ゆみ氏は話す。「多くの試行錯誤の末に、とある樹脂メーカーが酸素を通しにくい透明フィルムを開発したと聞きつけた技術チームが、いち早くそれを導入。ようやく開発成功に至ったと聞いています」(會田氏)。
当時の代表が「自社の利益を追うことだけでなく、鰹節業界全体を盛り上げたい」とかつおパックの製造技術の特許を公開したため、同様の...
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