急激に人々の仕事、暮らしに浸透する生成AIですが、多くの恩恵がある一方で、フェイクニュースの増大などのリスクも拡大しています。本稿では恩田基輝氏が、AIがもたらす信頼性の課題やフェイクニュースがもたらす広告活動への影響などを解説します。
AIの民主化の功罪 フェイクニュースのリスクが増大
2022年から2023年にかけて、生成AIが大きなトレンドになりました。今後も来るべきAIサービスが人々の生活をより便利にしていくと思われます。この不可逆的な変化は、いったいなぜ起きたのでしょうか?
AIについての研究やサービス提供はそれ以前から行われていました。2022年Stability AI(Stable Diffusion:画像生成AI)とOpenAI(ChatGPT:テキスト生成AI)のリリースが革命的だったのは、「誰でも無料で利用できる」上に、「商用利用が可能である」、という2点です。これまで限られた企業や人しかアクセスできなかったAIが、オープンソースで誰でも自由に利用できるようになり、「民主化」(清水亮氏)したと言えます。事実、2023年は様々なAIを使ったサービスがリリースされ、流行語に「生成AI」が選ばれました。一方で、ネガティブな側面もあります。そのひとつがフェイクニュースです。
ブランド毀損や広告詐欺 インターネット広告における問題点
ここでは、インターネット広告における生成AIおよびフェイクニュースの問題に焦点を当ててみましょう。これまでも、ブランド毀損や広告詐欺(アドフラウド)はインターネット広告の負の側面「ネット広告の闇」として問題になってきました。生成AIとフェイクニュースはこの問題を、より加速させる可能性があります。
例えば、画像生成AIとテキスト生成AIを使えば、簡単にひとつのサイトを作成することができます。もちろん、そこに掲載するコンテンツを量産することも容易です。学習を進めれば、人間がよりクリックしやすいセンセーショナルな見出しと記事と画像を計算しながら、生成AIが運用するSNSアカウントでそのコンテンツを拡散することができます。PVが集まれば広告収入を得ることもできるでしょう。また、そこでクリックを水増しするボットも、生成AIがつくっているかもしません。
今後さらにテクノロジーが進化していけば、テキストや画像だけではなく...