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「ファンコミュニティ」の運営と活用

コミュニティを起点にファンとミッションの実現に挑むカインズの取り組み

澁谷慶子氏、煙草光芳氏、日野上 紗貴氏(カインズ)

ホームセンター業界でもファンコミュニティの運営は拡大している。カインズが運営している「CAINZ DIY Square」は、他社商品についても投稿が許可されているコミュニティだ。なぜこの運営スタイルに至ったのか。その背景にあるミッションドリブンな考えに迫った。

「CAINZ DIY Square」基礎情報


●開設:2021年11月

●サイト運用のこだわり
①ユーザーに対して丁寧な対応を心がける
②カインズが企業としてあるべき姿勢「Kindness」をぶらさない
③コミュニティ内で宣伝活動は行わない

ファンコミュニティの開設 コロナ禍の有無は関係なかった

ホームセンターチェーンを展開するカインズでは、2021年からオンラインDIYコミュニティの「CAINZ DIY Square」を運営している。

同コミュニティはカインズが以前から行ってきた取り組みである「DIYer100万人プロジェクト」という「DIYをライフスタイル(生活文化)にする」ことを目指す施策の一環として実施しているもの。実店舗とオンラインを融合し、両軸で運営しているのが特徴だ。

コロナ禍で既存顧客との関係性を見直す企業が増えた。しかし、カインズでは「コロナ禍の有無にかかわらず、ファンとの関係性構築に注力する戦略を進めていた」と実際に運営を担当している同社の澁谷慶子氏は話す。

「当社ではコロナ禍以前の2018年に、従来のホームセンターからITを駆使する小売業への変革を目指す『IT小売業宣言』を掲げてデジタル戦略を進めており、各施策をはじめています。コロナ禍の有無は『CAINZ DIY Square』を開始する理由として特筆すべきものだとは考えていなかったのが正直なところです」(澁谷氏)。

「CAINZ DIY Square」には、日曜大工や工作だけではなく、料理のレシピやガーデニングなどの投稿も並ぶ。投稿には、毎回のように他のユーザーからの「いいね」やコメントがつくと澁谷氏。

ユーザーから投稿が集まる理由 「DIY」を広く定義した

「CAINZ DIY Square」では、会員に登録したユーザーのみがコミュニティへのコンテンツ投稿や「いいね」などのリアクションができるシステムで運営されている。実際の投稿は、DIYと聞いて生活者が想像するような日曜大工や工作の作品だけではなく、料理のレシピやガーデニング・家庭菜園の様子などが並ぶ。

これは、カインズがDIYの定義を「くらしを良くするために自分でやってみることの全て」と広く捉えていることが背景にある。だからこそ、この定義に当てはまるDIYerからの投稿が多く集まってくるのだ、と同じく運営を担当する日野上氏は話す。

「『CAINZ DIY Square』の...

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