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Web3.0時代のマーケティング

Web3.0時代、生活者の消費判断軸は「資産性」の有無に

森川夢佑斗氏(Ginco)

価値の取引において変化をもたらすと言われるブロックチェーンやNFTなどのWeb3.0における技術。これらのテクノロジーが生活者に普及すると、消費にはどのような影響を及ぼすのか。ポイントは、生活者が持つ無意識的な価値観。その真意をGinco 代表取締役 森川夢佑斗氏に聞く。

ブロックチェーンが実現する「個のエンパワーメント」

Web3.0を代表する技術であるブロックチェーンにより、かつてのインターネット登場・進化と同様に、「個のエンパワーメント」が重要なキーワードになってきます。

「個のエンパワーメント」とはどういうことか。インターネットがもたらした顧客と企業の関係性の変化に照らし合わせて考えてみます。

インターネットの登場前、企業はアナログな手段で顧客に情報を提供し、彼らはその価値をただ受け取るという一方通行の関係であることがほとんどでした。インターネット黎明期であるWeb1.0時代の情報通信も同じように、ユーザーはホームページを閲覧するだけの静的な世界。文字通り、BtoC(企業から顧客へ)の関係性だったと言えます。

そしてテクノロジーが進化し、インターネットを使って、いわゆる双方向的な情報交換が可能になったのがWeb2.0。企業がただ発信するのではなく、それを受け取るエンドユーザーもフィードバックできるようになりました。要は、顧客も企業に価値を提供することが可能になり、情報の民主化を実現したということです。

そんな中でCtoCの概念が誕生します。ポイントは、やはりインターネットの進化。先述のように顧客が価値を提供できるようになり、情報のマッチングや顧客同士で価値の交換が可能になりました。

しかし、決済という側面ではどうでしょう。顧客同士で価値交換ができるようになったとはいえ、決済時にはいつも銀行や決済会社、運営企業などが間に挟まっていました。つまりインターネットでは、決済は自由化しなかったのです。

ここで登場したのがブロックチェーン。価値をやり取りするネットワークです。インターネットが情報の民主化を実現したように、ブロックチェーン技術はお金の流通を民主化しました。Web3.0とは、このインターネットとブロックチェーンを掛け合わせて生まれる世界。個人が生み出した価値を、企業を介すことなくそのまま届けられるようになります。

そして、この潮流が「個のエンパワーメント」につながるのです。例えば、動画を発信するクリエイター。これまではコンテンツや情報を、あるプラットフォーム上に出すしか発信方法がありませんでした。そこで収益を得て金銭のやり取りを行う場合はプラットフォーマーにマージンを取られ、クリエイターは引かれた分をもらうというシステムで運営されています。

そこで高まった機運が、生活者への...

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