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Web3.0時代のマーケティング

カルビーがNFT配布施策でゲームに着目した本当の理由

関口洋一氏(カルビー)

Web2.0時代の象徴であるアプリによって顧客との深いコミュニケーションが可能になった。しかし、時代はWeb3.0へ。今、企業に求められているのは社会や顧客が変化したときに対応するための「土台づくり」だとカルビーの関口洋一氏は語る。実施したNFT施策の中で、カルビーは今後のマーケティングにどのような可能性を見出したのか。

2022年夏にNFT市場に参入 実施したのは「限定的」な配布

カルビーは2022年7月、NFTを10000名に無料で限定配布すると同時に、農業体験ゲーム「Astar Farm」上でじゃがいもを収穫した人の中から抽選で50名に『ポテトデラックス』の実商品を送付するキャンペーンを実施。Web3.0市場への参入を開始した。

カルビーのNFT活用施策の特徴は、「無料で誰でももらえる」というユーザーが持つNFTへの参入障壁を取り払った仕組みと「暗号資産を利用したゲームをプレイすることでもらえる」という、よりWeb3.0時代のテクノロジーを活用した仕組みの2軸で展開していることだ。

なぜ、ゲームに着目したのか 求められるプランニングの意識

同社がNFT活用施策を開始した背景には、2020年から実施しているデジタル技術を用いた顧客体験価値の向上施策がある。

カルビーは、カスタマーエクスペリエンスとしてのCXだけではなく、「カルビーエクスペリエンス(CX)」を顧客に届ける取り組みとして、2020年に「カルビールビープログラム」というスマホアプリをリリース。顧客との深いコミュニケーションを推進してきた。アプリ以外にも顧客と直接つながることができる接点を模索していたところ、バーチャルとリアルを融合させるという観点からNFTの配布に着眼したという。

では、なぜゲームという手段を選んだのか。本施策を主導する同社の関口洋一氏は、カルビーのコーポレートメッセージ「掘りだそう、自然の力。」のもと、自然素材であるじゃがいもや、畑、生産者との関係性を大切にしてきた経緯が、大きく影響しているという。

「活用した農業体験ゲーム『Astar Farm』は暗号資産のASTRを預けることで、バーチャル空間上の畑で作物の栽培が可能。一定期間ステーキングした後、育った作物を収穫。その後、収穫した作物を販売することで、最初に預けたASTRよりも多くのASTRを受け取ることができます。

しかし、必ず収穫できるとは限りません。一定の確率で虫に食われるというイベントが起き、収穫できなくなることがあるのも特徴。現実世界での作物の栽培のように思いがけないことが発生することも、うまく実装されています。今回は、このゲーム上の...

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