e-Taxの悲劇 「リアル世界」の底力を知る
デジタル庁が発足して1年半。日本でも公共サービスや各種手続のオンライン化も進み、社会全体のデジタル・トランスフォーメーションが加速している。確定申告もe-Tax経由で自宅からスマートフォンやパソコンを利用して手続きができるようになり、今までの煩雑な作業のことを考えれば、まるで夢のようだ。
と、思っていた私が、ただ夢を見ていただけだったのである。申請の準備段階に行き着くまでにかなりの労力を要し、どうにかこうにかe-Tax経由で申告できた。その先の地平で待ち受けていたものが極めつけだった。結局、納税のための銀行口座振替依頼書など、別途「紙」での手続が必要なのだ。従来のリアル社会の慣習をベースにしたデジタル化は真の意味でのデジタル・トランスフォーメーションにはならず、新たな煩雑さをもたらすパッチワークになってしまっている。裏返せば、それくらい「リアル社会」の影響力は大きいのだと言える。
「リアル経済」と「デジタル経済」媒体比率に当てはめてみると
実際、「リアル経済」と「デジタル経済」の規模を比較してみると、デジタル先進国の米国においてすら、「デジタル経済」はGDP全体の約10.8%※1にしかすぎない。残りの9割近くは「リアル経済」が牽引しているのだ。翻って、広告費の媒体別シェアにおいては近年デジタル広告の躍進が...
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