モノやサービスの流通経路は、大きく分けて3種類ある。ひとつは、生産者自身が流通活動を担い、消費者と直接取引をする「直接チャネル」。2つ目は、流通業者を介する「間接チャネル」。もうひとつが、その双方を用いる「デュアル・チャネル」だ。
「デュアル・チャネル」は、異なる顧客セグメントや、異なるニーズに対応するために生まれたシステムだ。製造会社の場合、自社の営業を通す販売と、商社や代理店などを通す販売が行われている。小売業者であれば、自社直営店とフランチャイズの双方を用いている。
4Pのなかで「Place」にあたるチャネル戦略の選択は、企業の利益に直結し、顧客にとっての利便性にも関わるが、これまで、それらを理論的に示すモデルは不足していたという。本書『デュアル・チャネル』の著者である石井隆太氏の専門は流通論。モノやサービスが生まれてから消費者の手に渡るまでのプロセスにおける、組織間の関係に着目した研究を行ってきた。
本書では、数多くの企業が使っているという「デュアル・チャネル」が、どのような流通戦略であるかを紐解き、その使い方と効果を解説。特にこれまで先行研究の少ない生産財の流通に着目し、その戦略が企業に...
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