日本の伝統芸能「落語」を英語で表現する「英語落語」を届けている琉水亭 はなび氏。古典落語で世界に笑顔をもたらしたいという強い意志と、テレビCM出演をきっかけに感じた広告への考えについて、話を聞いた。
日本文化の面白さを世界へ 思いを叶えた英語落語との出会い
英語落語・バイリンガル落語、港区観光大使、ラジオパーソナリティー、薬酒・薬膳酒協会理事、琉球かれん講師など、バラエティに富んだ肩書を持つ琉水亭 はなび氏。英語落語は、主に日本を訪れた外国人に向けて披露している。
はなび氏の英語落語に対するモチベーションの根源にあるのは、「日本の伝統芸能を世界に発信したい」という真摯な思いだ。
「アメリカの大学に留学した際、私自身に日本文化に関する知識がなかったため、日本の良さを周囲の人に伝えられなかったことがとても悔しくて。日本に帰国後もその後悔は残っていて、どうにかして自分も日本の良さを発信ができないかと考え、たどり着いたのが落語でした」とはなび氏は当時を振り返る。
ある日、たまたまテレビで目にした落語に興味が湧き、落語好きの友人におすすめを聞いたところ、落語家・立川志の春さんの英語落語を勧められたのが英語落語との出会いだった。
元々、和のスピリットを持ったまま、洋の学問・知識を身に着け、両者を調和・発展させていくことを意味する「和魂洋才」という言葉が好きだったというはなび氏。さらに、留学を経て学んだ言語や、異文化に関する知識も生かすことができると思い、直感的に「これしかない!」と考えたという。
「日本人は“お堅い”“真面目”といったイメージを持たれることも多いと思いますが、『日本人だって面白い』と世界に伝えたかったんです。日本の伝統芸能である落語は、まさにユーモアとともに文化も伝えられる。強い思いが湧いてきましたね」(はなび氏)。
伝統を重んじ古典落語に挑戦 英語でオチを伝えるためのワザ
落語は「古典落語」「新作落語」の2種類に分けられる。古典落語は江戸時代から明治・大正時代につくられた演目を指すことが多く、長い歴史を持つ。はなび氏は、日本の...