本号では、一般部門の一次通過者氏名が発表となりました。通過率は約1%。「宣伝会議賞」への応募経験もある一次審査員の山本友和氏に、コピーライターとしてのスキルアップにつなげる結果との向き合い方について聞きます。

電通
クリエーティブディレクター/CMプランナー
山本友和氏
大学院で爆薬を研究後、なぜか電通に入社。7年間の営業局勤務後、CRに転向。ENEOS新車のサブスク「やさしいクルマの持ち方」、鏡月Green「たのしいお酒がいいお酒」、P&G「レノアリセットの罪」、すごい納豆「バレンタイン納豆」、ダイハツ「WAKE兄弟」、午後の紅茶「あいたいって、あたためたいだ。」、日本生命「父は、何があってもキミの父です。」、KAGOME「高性能爆薬でつくる野菜ジュース」など。
公募に応募する理由は2つ 「受賞」か「学び」か
──「宣伝会議賞」にはどのように取り組まれていましたか。
私は新卒で広告会社に入社し、営業局に配属されましたが、クリエイティブ局への転局を目指して「宣伝会議賞」に毎年取り組んでいました。異動後も含めると7~8年間ですかね。最高は二次審査通過だったと思います。
「宣伝会議賞」をはじめ、公募に応募する理由は2つあって、ひとつは「賞や賞金が欲しいから」。そしてもうひとつが、「勉強になるから」でした。
そう考えると「宣伝会議賞」は応募数が非常に多いので、受賞を目指そうとするとコストパフォーマンスもタイムパフォーマンスも、正直全くよくないんです(笑)。
ただ、勉強になるという視点では、コスパもタイパも非常に良い。私自身は、修行だと思いながら、すべての協賛企業の課題に取り組みました。
受賞することは本当に素晴らしいことで、目指すべき場所。だけど応募総数が60万通以上に及ぶなかで、多くは壁を超えることができない。だからまず、自分のコピーの腕を磨く場として活用するのがよいと思います。
──応募に際して質と量は、どちらを優先したらよいでしょう。
応募者の方の目的とフェーズに拠ると思います。
コピーをはじめとするクリエイティブの仕事は、たくさんのアイデアから選び取る能力が重要です。
審査をしていて、私の場合は、「てにをは」などの微妙な差や、似た表現のものが並んでいると票を入れづらい。だから、きちんと選び抜いて提出した方がよいというのは真理だと思います。
一方で、矛盾するようですが、公募の場合は、その選ぶ作業をせずに応募できるのが特徴でも...