生活者の意識・行動の変化が激しい時代。生活者の支持を得るブランドになるためには市場の動向に合わせてスピーディーな意思決定も必要です。こうした市場で顧客を増やし成長を遂げるスタートアップ企業では、どのようなマーケティング戦略が企画され、また実行されているのでしょうか。新興企業の戦略から新しいマーケティングの方法論を導き出します。
Morght 会社概要 | |
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設立年 | 2018年 |
従業員数 | 8名(うち、マーケティング部は3名) |
資本金 | 3,312万円(2021年4月現在) |
事業概要 | D2C寝具ブランド「NELL」の企画・販売 |
創業2年目で事業をピボット 睡眠市場へ参入
MorghtはD2C寝具ブランド「NELL」の企画・販売をメインに事業を展開する企業。2023年1月現在で、昨対比200%以上の増益を達成し続けているスタートアップ企業だ。
2018年の設立当初はYouTuberコミュニティアプリや新卒採用支援を行っていたMorghtだが、2020年1月に睡眠領域に事業をピボット。D2C寝具ブランド「NELL」を2020年10月にスタートした。企業名のMorghtは「朝(Morning)」と「夜(Night)」を組み合わせた造語。文字通り、朝起きてから夜寝るまでの人々の生活を豊かにするべく、睡眠に関する悩みを解決することをパーパスとしている。
元の事業から睡眠へと事業路線を変更した背景には、昨今の睡眠領域の市場規模の拡大やスリープテックへの関心の高まりがある。コロナ禍で睡眠への関心は高まっている一方で、諸外国と比較して日本人の睡眠時間/満足度は相対的に低いことがピボットのきっかけになった。
他社にはない体験設計が成長の要因に
睡眠市場への参入後に発売した同社のベッドマットレス「NELL マットレス」は、2020年10月のリリース後、約2年で売上が315倍へ成長。主軸商品として成長を続けている。同社の執行役員 VP of Marketingの宮下大和氏は成長の要因について、他社にはない売り方や顧客体験の設計が関係していると話す。
「マットレスは、2週間程度使用しないと自分に合うかわからないと言われている商材です。ですが、家具店で選ぼうにも選択肢が多すぎて決めかねてしまったり、しっかり試すことができなかったりしますよね。この従来の消費行動からヒントを得たのが『NELL』が提供する顧客体験。スマホで自宅宛に注文し、届いた後は120日間無料でトライアルしてもらえる仕組みを...