デジタルの世界で知名度を確立させたブランドがさらなる顧客との接点拡大を目指したり、従来は人的営業中心だった企業が、テレビCMの活用に踏み切る機会があります。なぜテレビCMを選んだのか。初めて出稿する際に、どのような戦略を持って臨んだのか。担当者に話を聞きます。
代表の原体験が事業構想に フェムテック企業のmederi
2019年創業のフェムテックカンパニーmederi。「より女性が生きやすく暮らしやすく、働きやすい社会にむけて。」というビジョンのもと、現代女性の健康課題に向けたプロダクト「mederi Pill」と「mederi Baby」の2つを展開している。
そのmederiが2022年7月、同社初のテレビCMの放送を開始した。訴求しているのは先述の「mederi Pill」だ。「mederi Pill」はスマホから受診可能なオンラインピル診療サービス。代表取締役の坂梨亜里咲氏が、女性特有の不調の起点として生理のケアに着目。自身も服用していた低用量ピルの処方を希望する女性とオンライン診療をする産婦人科医をつなぐマッチングプラットフォームとして、2022年1月にローンチした。
「mederi Pill」の事業責任者を務める大池優貴氏によると、同サービスのこれまでの広告コミュニケーションは、デジタル広告が中心だったと話す。ターゲットが明確なため、その層にしっかりと情報を届けるべきとの判断があったからだ。
「2022年1月からサービスを開始した『mederi Pill』は、テレビCMを始める同年7月までInstagramを中心に広告を配信していました。他のプラットフォームにも配信はしていたのですが、8~9割はInstagramでの広告運用。ユーザーのボリュームゾーンが20代女性であることからも、Instagramでの訴求が効果的だと考えていたことから実施したメディアプランニングでした。ここでは獲得効率を上げ、いわゆる『顕在層』へのアプローチに注力していました」(大池氏)。
ローンチ半年後に上限が見えた デジタルでの顕在層アプローチ
デジタル広告中心から、テレビCMの活用を加えたのが事業ローンチから約半年が経過した7月。その背景にあったのは、これまでの広告手法のまま事業成長を加速させようとすると、CPA※が割に合わなくなってきたというのが課題だったと大池氏。デジタル広告の施策だけでは頭打ちの状況に陥ってしまっていたという。