イベントや展示会の開催、オフィスのバーチャル化、店舗の展開など、ビジネスでもメタバースの導入が広がっている。コロナ禍での非対面コミュニケーションの増加も追い風となった。2021年10月にはFacebookが社名をMetaに変更し、日本国内でも様々な業界団体が設立された。ハードウェア面でも技術が進展し、市場規模のさらなる拡大が見込まれている。
本書『メタバースと経済の未来』の著者は、駒澤大学経済学部准教授の井上智洋氏。2016年に『人工知能と経済の未来』(文春新書)を執筆するなど、近年は人工知能が経済に与える影響について研究してきた。井上氏は本書の中で、メタバースは、AIと対になって経済の在り方を激変させるだろうと述べている。
どこまでを「メタバース」とするかその定義は様々だ。井上氏は「厳密な定義にこだわることに益はない」と前置きしたうえで、「コミュニケーションできる仮想空間」を広義、VRなど没入性を有しているものを狭義のメタバースとしている。
今後、経済活動の多くの部分がメタバース内で行われるようになるだろうと予測する井上氏。「メタバースは、3Dグラフィックスによる宣伝・広告という新たな可能性に満ちたフロンティアです」と話す。
第1章では...
あと60%