全米小売業協会(National Retail Federation)は2022年11月3日、「2022年アメリカ年末(11/1~12/31)消費は前年対比6~8%増の9,426億ドルから9,604億ドル(129~131兆円)と予測する」と発表した。同13.5%増を記録した2021年11~12月消費と比べてやや控えめな予測は、2022年前半から続く燃料費や食費などの高騰によるインフレが影響を及ぼしているとみられる。NRF代表のマシュー・シェイ氏は「消費者はディスカウント商品やクーポン券を探している」と述べ、厳しい年末商戦の行方を示唆した。
大手デパートの動き 「エモーショナル」から「ディスカウント」へ
2020~21年はコロナ禍の影響で、年末年始の友人・家族の集まりを断念せざるを得なかったため「会えなくても素敵な休日を」とエモーショナルなメッセージ広告が多かった。急激なインフレで消費者の財布の紐が堅くなった今年は、小売業界を中心に「ディスカウント商品で賢くセービング」が合言葉に。リサーチ会社Vericastの調査によると、消費者の60%が「割引クーポンやセール品はこれまで以上に重要」と回答している。そこで今年の年末商戦では、早くからバーゲン商品を全面に出したプロモーションを展開する企業が増えた。
ターゲット、ブラックフライデー前の10月から年末キャンペーンを開始
大手百貨店コールズは過去2年間のエモーショナルな広告から一転し、“More Gifts,More Savings”をテーマにしたクーポン付き広告でバーゲンセールを訴求するキャンペーンを展開した。またターゲットも、11月末のブラックフライデーを待たずに10月から「プライスマッチ・キャンペーン」を開始。
通常、年末が近づくにつれて商品価格を下げていく戦略を取るものだが、今回は「10月6日から12月24日まで割引価格を維持します」という。つまり「年末に値下がりするのでそれまで待とう」とギリギリまで購入を控える消費者に、「最初から最低価格ですので、お目当ての商品は早めにお買い求めください」というメッセージだ。仮に自分が購入した商品が後日さらに安くなっていれば、領収書の提示で差額を返金してくれる。このように他社も例年より早くキャンペーンを開始する戦略が目立った。
(1)ターゲット
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