長田新子氏がリーダーとなるチームでは「CMO X CULTURE」をテーマに議論を重ねている。長田氏は前職のレッドブル時代に「CMO X」の活動に参加。現在は、産官連携しての渋谷の街のブランド力強化の取り組みを行っており、その文脈においても捉えどころのない「カルチャー」をテーマにマーケター同士で議論をしたいとの目的で発案された。
MEMBER
カルチャーの中心にあるのは信念のような価値観と熱量
長田:私たちのチームではカルチャーとマーケティングの関係性をひも解くことを目的としましたが、議論はまず「カルチャーをどのように捉えるのか」から始めました。カルチャーは人のライフスタイルや趣味・思考などとリンクしていて、誰かに押し付けられるものではありません。自発的な精神でカルチャーに関わる人たちと「ともに育てていくもの」かなと。それで私自身は、カルチャーを教育ではなく「共育」と捉えています。
角田:カルチャーの中心には、「周りがなんと言おうと自分はこう思う」という信念とも呼べる価値観が共有されていて、熱量もすごくあるように思います。これは企業文化にも通じるものではないでしょうか。私は商品開発から広告コミュニケーションまで携わるなかで、自分たちが持つ「他社とは違う固有の価値観」の大切さを感じています。当社の場合で言えば「ビジネスを通じて人々の生活や心を豊かにしていこう」という熱量を会社の仲間たちと共有できるからこそ、良い循環でビジネスが回り、独自の企業文化が根付いているように思います。
津田:熱量や情熱は大事ですよね。アートをコンテンツの核にして盛り上がる瀬戸内海にある直島も、もともとはベネッセホールディングスの名誉顧問の福武總一郎さんが、直島の町長と「瀬戸内の島に世界中の子供たちが集える場をつくりたい」という思いをひとつにして、まさに情熱から始まったプロジェクトです。
長田:世耕さんはメンバーで唯一「文化」と名の付く学部のご出身です。この言葉をどう捉えていますか。
世耕:突き詰めていけば、人間が生きる営みの中で、自然に生まれるものすべてが「文化」であるという認識です。ただし、消滅していく文化もあれば、継続していく文化もある。例えば、平安時代に流行した「蹴鞠」はいま、年に1回、京都のどこかで見られるかどうか、ですよね。
津田:「カルチャー」も「文化」も、人為的につくり出せるものではありません。蹴鞠で言えば、「蹴鞠を大切にしていこう、残していこう」という社会的な空気みたいなものがカルチャーになる。私は...