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IMCからIMXへ―「Coke ON」はコカ・コーラのマーケティングをどう変える?

「Coke ON」はどのように生まれた?6年半の歩み

宇川有人氏(日本コカ・コーラ)

従来は卸売業者や小売店を介して顧客と接点を持っていたメーカーも、顧客と直接つながり、魅力的なブランド体験を提供することが市場で生き残るための重要な鍵となっています。本連載では日本コカ・コーラの公式アプリ「Coke ON(コークオン)」の事例をもとに、顧客とダイレクトにつながる新たなマーケティングの形を考えます。

「コネクション」プランニングから「ブランド体験」のプランニングへ

私は日本コカ・コーラのマーケティング本部IMX事業本部デジタルプラットフォーム部に所属し、「Coke ON」サービスのプロダクトマネジャーとして働いています。部署名のIMXはIntegrated Marketing Experienceの略称。元はIMC(Integrated Marketing Communication)という部署名でしたが、2021年以降、IMXに改称されました。

消費者の行動やメディア接触が多様化する中、一方通行の「メディア」プランニングではなく、消費者との「コネクション」を設計しようというIMCの考えをさらに進めて、消費者を主体とした「ブランド体験」をより重視していく、という意思を反映した名称です。そして「Coke ON」サービスは、まさに消費者の「ブランド体験」にかかわるプラットフォームの中核を担います。

「Coke ON」について詳述する前に、私のバックグラウンドについて簡単に紹介します。私はNTTドコモでキャリアをスタートし、当時の「iモード」や「おサイフケータイ」というプラットフォームを活用し、流通・小売業界のパートナー企業とともに、モバイルを活用した消費者サービスを立ち上げる業務に携わり、以来約20年間、複数の会社でデジタルとリアルサービスの融合、いわゆるO2OやCRMの領域で働いてきました。専門領域はデジタルマーケティングとEコマースです。

「コカ・コーラパーク」からSNSそして「Coke ON」へ

コカ・コーラ社といえば、テレビCMなどのマスメディアが多いイメージがあるかもしれませんが、新しいメディア領域やテクノロジーの活用も積極的に行っています。

例えば2007年にスタートした「コカ・コーラパーク」は、登録ユーザーが1300万を超え、ミニゲームや製品プロモーションを通じて多くのファンの方にご利用いただいた、メーカーによる「オウンドメディア」の成功事例として注目を集めました。2012年頃には、SNSへのシフトを加速。主要アカウントで計2000万人以上のユーザーとの接点を構築し、お客さまとのコミュニケーションに活用してきました。

そして、2016年4月にスタートしたのがスマホアプリを活用した「Coke ON」であり、その中心サービスが「Coke ON」...

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