原油価格や資源価格の高騰で、多くの品目で値上げが相次いでいる。そうしたなかで、100円ショップ市場はコロナ禍でも成長を続け、市場規模が拡大。新規出店も相次ぎ、2025年度には1万店を突破するとみられている(帝国データバンク2022年4月発表調査より)。2022年4月、東京・銀座エリアにダイソーの3ブランドが出店したことも話題を呼んだ。
本書『100均資本主義』では、100円ショップをはじめとする激安ショップに焦点を当て、その経営の仕組みやシステム、利用者を惹きつける魅力を考察していく。
著者の郭洋春氏はこれまで、途上国の経済開発をテーマに研究を行ってきた。本書では100円ショップの特徴的なビジネスモデルの解説に加え、人々の価値観や行動の変化も読み解きながら、これからの経済、社会をどう築いていくべきかを考えていく。
郭氏は、バブル崩壊後に陥った低賃金構造の日本を支えた背景に、激安ショップの存在があると指摘。そして、こうした過去の経済学では説明できない、日本の新たな経済のかたちを「100均資本主義」と呼ぶ。
第1章では、100円ショップの成り立ちを振り返りながら、“究極の利潤追求モデル”とも言える...
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