次世代を担う若手マーケター・クリエイターを紹介する本連載。新たな時代を担うホープたちはどのようなポテンシャルを秘めているのだろうか。今回はロート製薬 プロダクトマーケティング部で活躍する長岡里奈さんに話を聞いた。
新規事業企画のポイントは強い気持ちで挑戦すること
大阪に本社を置く大手製薬会社のひとつロート製薬のマーケティング組織は、商品企画を行う部署とプロモーションを担当する部署に大きく二分されている。そのうち、目薬の商品企画に携わっているのが長岡里奈さん。1年目から配属され、現在で4年目になる。
長岡さんの役割は目薬の商品企画にとどまらない。2020年に同社内で公募が始まった社内ベンチャー企画に応募し、その翌年には目薬ボトルの廃プラスチックをリサイクルしたサングラスを製造・販売する会社、アイフォースリーを設立。2022年10月に発売を開始した。マーケターと起業家という二足のわらじでの活動の背景にあるのは長岡さん自身が学生時代に感じた健康を取り巻く課題意識だ。
「学生時代にインドに赴く機会があり、そこで健康課題に悩む現地の方々の声を聞きました。当時はインドのホテルにある石鹸を回収してリサイクル石鹸をつくり、クラウドファンディングで資金を集め、悩んでいる方々に届ける活動をしていました。そこで学んだのが、『世界規模の課題にアプローチする意義のある事業ではあるが、実際に共感して、お金を払ってもらうのは難しい。社会課題の解決と事業をどう両立すべきなのか?』という視点でした。ロート製薬のマーケティングに興味を持ったのも、誰かの健康の悩み事を解決したいという想いからでした」(長岡さん)。
学生時代からの想いがある中、入社2年目に舞い込んできたのが社内起業の公募というチャンスだったと長岡さん。企画から販売までを実現したアイフォースリーの起業は、以前から...