消費者ではなく、生活者という言葉が使われる場面が増えました。真に生活者起点のマーケティングを実践するうえでは、一人ひとりの顧客に「人」として向き合うことが求められています。データも駆使した、「人」中心のマーケティングの実践論を全12回の連載で解説していきます。
既存プロセスから手を付けない!「人」中心に転換する際の注意点
「人」中心マーケティングをテーマに1年にわたり、寄稿してきた本連載も今回が最終回です。「人」中心とは、とても耳障りの良い言葉ですが、その実とてもラディカルに企業活動そのものの変化を求める考え方でもあります。
第一に「消費者」ではなく「人(生活者)」と呼ぶことは、顧客を「企業が発信する情報や商品を受け取る受動的な存在」から「自ら価値を生み出す能動的な存在」に捉え直すことを意味します。
第二に「中心」という言葉です。これは、企業活動の目的を「商品やサービスの製造と提供」ではなく「生活者としての顧客の幸せの実現」に置くという姿勢への転換を意味しています。つまり「人」中心マーケティングとは、「顧客とともに仕事を進める」「顧客体験における価値の最大化を目的として企業が自らのアウトプットを常に変化させていく」...
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