広告に対して「うざい」「鬱陶しい」と考える生活者もいる状況を、クリエイターはどのようにとらえているのか。また、このような時代に、クリエイティブはいかに力を発揮することができるのか。山崎隆明氏に考えを聞いた。

ワトソン・クリック
クリエイティブディレクター/CMプランナー/コピーライター
山崎隆明氏
京都府生まれ。電通を経て2009年Watson-Crick設立。動画を中心とした広告企画及び制作。SMAPベストアルバム収録曲『チョモランマの唄』や関ジャニ∞『CANDY MY LOVE』などの作詞・作曲も手がける。TCCグランプリ、部門賞、最高新人賞、ACCグランプリ、ACC金賞、ACCベスト企画賞、クリエイター・オブ・ザ・イヤー、広告電通賞部門賞、など受賞多数。
Q インターネット浸透前後で、生活者の広告の見方も変化しています。このことがクリエイティブの制作にどのように影響しましたか。
A 広告メッセージを生活者が「観たい」「聴きたい」ものに変換する必要が、以前より増した。
インターネット浸透前から、「広告は観たくないもの」という前提で企画をしてきましたが、メディア、コンテンツが増えて多種の広告が氾濫したことで、より広告は鬱陶しいものになっています。特にデジタルコンテンツ視聴の場合、テレビの“ながら視聴”よりも生活者が能動的にコンテンツと接するので、間に入ってくる広告には相当ストレスを感じます。そんな時代に制作者として意識することは、当たり前ですが観てよかったと思わせるエンタメポイントを強化して、かつ、伝えたいメッセージをしっかり届けること。
商品のコモディティ化も進むいまの時代、広告対象商品のメッセージが同質化していることが多く、伝えたいメッセージを視聴者が観たいもの、聴きたいことに変換していかないと、広告に対する拒否感は増すだけです。そのために必要なのは...