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「場所」ではなく「人」に届ける、プログラマティックDOOH

Hivestack Japan

近年、テクノロジーの活用で、その進化に注目が集まるOOHメディア。2024年にはDOOH市場規模が1000億円に達すると見込まれている中で、データに基づき配信されるプログラマティックDOOHの活用が進み始めている。Hivestack Japan社長の神内一郎氏に話を聞いた。

Hivestack Japan
社長
神内一郎氏

1992年4月電通入社。入社以来、デジタル領域を中心に新規事業・新規サービスの立ち上げに従事。約30年間、日本、中国、シンガポールにおいて電通のさまざまな上級職を歴任。2019年、NTTドコモと電通の合弁会社LIVE BOARDの代表取締役社長に就任。2021年8月より現職。

リーチの先にある広告効果をロジカルに証明する

カナダのモントリオールに本社を置くHivestackは、現在27カ国でプログラマティックDOOHの事業を展開するマーケティングテクノロジー企業だ。SSP、DSPなどメディアと広告主双方に向けたツールを提供する同社は、2019年に日本法人Hivestack Japanを設立。LIVE BOARD社のプログラマティックOOHプラットフォーム「LIVE BOARDマーケットプレイス」におけるテクノロジー基盤の提供を通じて、日本国内へ本格進出した。

これまでLIVE BOARDの創設にかかわる等、DOOH市場の牽引に注力してきた、Hivestack Japan社長の神内一郎氏。同氏は「OOHはこれまでも、直前に触れた広告が購買に影響を及ぼすリーセンシー効果や、“世の中ごと化”する効果があると言われてきましたが、技術の進歩により、それらの効果を数値で証明できるようになりました。しかし、枠取引の通貨として価値を評価することと、オーディエンスがどう反応するかという効果測定は分けて議論すべきです」と話す。

市場の健全な発展においては、取引における共通の指標が必要である。さらにその次の段階として、個々のクライアントニーズに合わせた効果に関するデータの提供が必要となる。神内氏は日本においてOOHに関わる中で、この取り組みを推進したいと考えているのだという。

「広告主がOOHを活用する目的は多様であり、だからこそ求める効果もKPIも千差万別。Hivestackの技術を活用すれば、それらの数値をロジカルに証明し、効果的な出稿プランの企画から出向までが可能になります」。

ビジネスの成果として正しく効果を可視化することが、OOHのさらなる発展に寄与すると神内氏は考える。

デバイスIDを活用してターゲットの日常生活を捉える

今、あらゆる広告メディアで「枠」の取引から「人」を対象とした配信が潮流となっているが、OOHについても同様だ。同社ではグローバルのデータプロバイダーと連携し、プライバシーに配慮した形で、携帯電話のデバイスIDをもとに広告効果の測定やプランニングを行う。

「今までは、ラグジュアリーブランドの広告であれば表参道、といった、ターゲット層が存在しそうな『場所』に対しての出稿が中心でした。しかし、私たちが前提にするのは『オーディエンス』という考え方。オーディエンスをデータで把握し、商品やブランドが求めるターゲットの含有率が高い場所に出稿できます」。

海外では実際にキャンペーンでの活用や【事例参照】、インフライトオプティマイゼーションによる効果改善なども進む。

エビアン(フランス)
ターゲティング配信

妊娠中・授乳中の母親や乳幼児の水分補給として飲用を推奨するキャンペーンの広告。ターゲットである女性が頻繁に訪れるであろう、幼稚園や小学校、デイケアセンターの周辺で検出されるデバイスIDを母集団として、そのIDの密度が高い時間帯や場所を自動的に抽出し、広告を配信する。

ウォルマート(アメリカ)
広告効果の測定

新学期を迎える学生に向けた販売促進キャンペーンの広告。位置情報を用いてウォルマート利用者と競合店の利用者でセグメントし、広告を配信。各セグメント内の広告接触者と非接触者で比較した上で、来店への寄与度を分析する。

また、これまでWeb広告を中心に出稿してきたスマートフォンアプリやゲームとの相性も良い。SNSのユーザー投稿やデジタル広告を連動させるなど、クロスメディアを生かした施策も可能になる。

“メディア離れ”に対応するOOH 広告予算の取り方も変化

「今はテレビを観ない層や、デジタルファスティングと言われるようにデジタルデバイスから距離を置こうとする人も増えてきています。でも彼らも多かれ少なかれ外には出る。これまではそこにオーディエンスがいると分かっていても、その捉え方が難しかった。捉えたとしても、ピンポイントな買い付けができないため莫大な予算を投下しなければいけなかった。それがプログラマティックDOOHによって、ターゲットの含有率が高い場所に一本単位で配信ができて、効果測定までできるようになったのです」。

出稿枠の確認や素材の入稿、クリエイティブの審査、配信までをワンストップで実行でき、業務の効率化や標準化が進むだけではない。近年は、GoogleやThe Trade Deskなどの各グローバルオムニチャンネルDSPが、国内のDOOHシステムと連携。Hivestackでも2022年9月、Googleが提供するDSP「ディスプレイ&ビデオ360」と「LIVE BOARDマーケットプレイス」のSSPとの接続を発表した。

オムニチャネル化が進むことで、デジタル広告配信のデバイスのひとつとして、DOOHが活用されるようになる。これにより「デジタル広告予算の中にOOH広告も組み込まれる。さらなる市場規模拡大につながるのではないか」と神内氏は話す。

ロジックを整備してメディアプランに組み込みやすく

10月6日には、OOH関連企業が参画する一般社団法人デジタルサイネージコンソーシアムが、World Out Of Home Organizationが5月に発表した「OOHオーディエンス測定の新しいグローバルガイドライン」の日本語版を発行するなど、指標統一に向けた業界の機運も高まっている。

今後について神内氏は、「関連する団体が一丸となって、広告フォーマットや売り方、広告取引通貨などの基準をつくっていくことが最も大切。ロジックを整備してレギュラーのメディアプランとして組み込まれることで、よりOOHの活用可能性が広がっていくのではないでしょうか」と語った。

    お問い合わせ

    Hivestack Japan株式会社
    デモの設定や詳細については、当社クライアントサービス担当者までご連絡いただくか、hivestack.comをご覧ください。

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