1972年に設立された愛知県名古屋市に拠点を置く総合広告会社の新東通信は、今年50周年を迎えた。「何かおもろいことないか」を行動原理に、従来のクライアントワークにとどまらない、社会全体に貢献する新しい取り組み「ソーシャルプロデュース」を行い続けてきた同社は東京支社においても、50周年の特別な企画を展開した。同社・取締役で東京代表の谷也氏に聞いた。
銀座に育ててもらったことへの感謝の気持ちを表現したい
今年で50周年を迎えた、新東通信。「何かおもろいことないか」を企業理念に掲げる同社の特長は「社員全員がクリエイターであること」と、従来のクライアントワークにとどまらない、社会全体に貢献する新しい取り組みを行う「ソーシャルプロデュース集団である」という点だ。
国内12カ所と海外ではバルセロナに拠点を持つ同社が、本社に次ぐ基点として東京・銀座に支社を構えて事業を開始したのは1977年のこと。2013年9月に代表取締役に就任し、現在は東京代表の谷也氏にとって銀座の魅力は「敷居が高いイメージがあるが、実は多様性に富んでいるところ」だという。さらに「私たちは銀座という世界有数の魅力的な街に、育ててもらったという思いがある。50周年を迎えた今年、育ててくれた銀座に対する感謝の想いを込めた周年イベントを実施しようと考えた」と谷氏は語る。
こうした方針のもと、銀座での記念イベントの実施の他、同社・会長兼社長の谷 喜久郎氏が出版した『地方を元気にする男』の広告で銀座をジャック。さらに「We LOVE GINZA」をキャッチフレーズにしたラジオ特番やアドトラック、サイネージの展開。より多くの人が訪れ銀座の街の中での回遊を促進する「銀座街バル」など、多様な施策を展開した。
「新東通信は長く、都市部外エリアの活性化にも取り組んできた歴史がある。銀座は都会だが、大切なのは自分たちのホームタウンへの想いを持って、活性化に貢献すること。そう考えると、今回の銀座での企画は新東通信のDNAを継承しているものだと思う」と谷氏は述べる。
50周年企画の実行に際しては、「戦える人を育てないといけない」と社員の成長を考え、企画実施に際しては若手も抜擢。
「経営に対する理解とまでいかなくとも、事業がわかる人材に育てることが必要。その理解のあるなしで成長度合は大きく変わってくる。プロモーションのことだけでなく、クライアント企業の事業まで考えられる人は広告会社にとっても貴重な戦力。実際『街バル』は若手が担当し、完遂する中で事業に対する意識が養われたと思う」(谷氏)。こうした意識は、従来のクライアントワークにとどまらず「ソーシャルプロデュース集団」を自認する新東通信の姿勢にも表れていると言えそうだ。
さらに谷氏は「広告会社は『広告事業会社』になるべき」との考えを示す。実際、同社ではこの20年間で、広告・メディアビジネスだけでなく展示会事業、PR事業、インフルエンサー事業なども開発し、従来の広告会社にはない広告事業会社としてのポートフォリオを組み立ててきた。
そして、この広告事業会社に必要なポートフォリオの基盤となるのは「コンテンツとデータである」と考える谷氏。「今後、一部の世界的メガエージェンシーを除く広告会社が戦える領域は大きく分ければ、コンテンツとデータの2軸になると見ている。価値あるコンテンツを押さえられるか、あるいは消費者と直接の接点を持ち、独自性あるデータを取得できるかが大事。価値あるコンテンツを押さえられるから、消費者と接点を持ちデータの取得も可能になるとも言え、双方は連携しているとも言える」(谷氏)。
広告事業会社としてのポートフォリオを有するからこそ、クライアント企業の事業にも貢献するようなマーケティング支援が可能になる。
谷氏は「世論形成のPRから社会的なブームをつくり、さらにモノが売れる仕組みまでをつくれる会社を目指していきたい」と50年のその先の新東通信の展望を語った。
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