全米小売業界が年末商戦を予測「前年比3~4%増で最大145兆円」
11月の第4木曜日の感謝祭が終われば、アメリカは本格的な年末商戦へ突入する。National Retail Federation(全米小売業協会)は、2023年米年末商戦の総支出額を前年対比3~4%増の9573億ドルから9666億ドル(143.6兆円~145兆円)と予測している。慣習では「ブラックフライデー・セール」は感謝祭の翌日から始まるものだが、ここ数年、11月初旬から前倒しで年末セールを始める企業が増えている。
米国広告マーケティング事情
新型コロナウイルス感染拡大により、大きく影響を受けたのが、大人数が集まり、感染拡大の危険性が高い結婚式。調査会社Statistaによると、米国内の結婚式はコロナ前年の2019年の202万件から2020年168万件へと減少。そして2021年に193万件とやや回復したあと、2022年は250〜260万件と結婚ブームの年になると予想されている。そんな中、結婚式を取り巻く状況にある変化が生まれているという。
ホテルなど式場を決めれば準備する係の人がついてくる日本と違って、アメリカでは会場から食事、カメラマン、DJ、花などを自ら個別に手配しなければならない。式全体を仕切るウエディングプランナーを雇うという選択もあるが、コストがかかるため自分たちで手配するのが一般的だ。
従来だと結婚を決めたカップルが最初にやることは、ブライダル雑誌を買うことだった。それをマニュアル代わりに、必要事項の確認から予算管理、スケジュール調整までひとつずつ準備していく。
ところが最近では雑誌に代わり、あるものが重宝されている。それはTikTokだ。ハッシュタグ#weddingtokつきの投稿は、現時点で30億回以上の再生。このトレンドに気づいたブライダル産業は、昨年末から続々とTikTokアカウントを立ち上げ、結婚ブームとなった今年、カップルたちに直接語りかけている。
米最大のブライダルストアDavid’s BridalのチーフマーケティングITオフィサー、ケリー・クック氏は「数年前からメタ(フェイスブック)で結婚ストーリーを語り、セールスに結びつけるのが効果的だったが、すでに下降していることに気づいた」とアドエイジ誌に述べている。まず同社は、TikTokで結婚に関する動画を見ているユーザーを注視することから始めた。その後数カ月間ドレスのライブ販売や有効的なコンテンツづくりを実施。今年はTikTokへ予算を徐々にシフトし、前年対比で5倍に増やす予定。
同社はTikTokでライブ販売を手掛ける会社と組み販売業績を伸ばしている。またテキサス州アマリロ支店で地元客をターゲットに、キンセアニェーラ(ラテン系女性15歳の誕生日イベント)ドレスを販売したところ、大ヒット。「地方のイベントで80万回再生は大きい」とクック氏は述べている。また3月に投稿された1000ドル(14万円)以下のドレスはバイラル化し、1,550万回再生されるなどTikTokで大きな存在感を示した。