広告マーケティングの専門メディア

           

社会学の視点

お仕事ドラマのトライアングル

遠藤 薫氏(学習院大学)

異なるドラマが共振するとき 2022年夏クールの「共通点」

2022年夏クールはお仕事ドラマが大勢を占めた。「一億総活躍社会」ということで、いまや誰もが共有する生活空間が「お仕事の場」になってしまったということかもしれない。

この原稿を書いている9月7日時点で平均視聴率ランキングTop10は、「オールドルーキー」「刑事7人 第8シリーズ」「六本木クラス」「競争の番人」「遺留捜査シーズン7」「ユニコーンに乗って」「石子と羽男」「魔法のリノベ」「家庭教師のトラコ」「テッパチ!」だが、すべてお仕事ドラマと言えなくもない。しかも、警察ものを除いて、一般にあまり知られていない仕事に焦点を当てているのも共通している。

今回は「競争の番人」「石子と羽男」「魔法のリノベ」(以下、それぞれ「競」「石」「魔」と略記)に着目してみたい。というのもこれら三作には、①「お仕事」が前面に打ち出されている、②近年には珍しくラブコメ要素が強い、③日常的な物語のウラに巨悪との闘いが潜んでいる、というさらなる共通点があるからだ。

まず、①から考えてみよう。「競」は公正取引委員会、「石」は個人法律事務所、「魔」はリフォーム会社という設定で、普通の人にも関係が深いはずだけれど馴染みがないという点が似ている。その閾をのり超えるために...

あと60%

この記事は有料会員限定です。購読お申込みで続きをお読みいただけます。

お得なセットプランへの申込みはこちら

社会学の視点 の記事一覧

お仕事ドラマのトライアングル(この記事です)
21世紀はネコの時代
北斎はくりかえし甦る
BTSにはパステルカラーがよく似合う
多元アイデンティティのミラーボール
「ミステリと言う勿れ」はなぜ面白い?
宣伝会議Topへ戻る

無料で読める「本日の記事」を
メールでお届けします。

メールマガジンに登録する