企業が実在の商品で課題を提供する「宣伝会議賞」。特徴のひとつに協賛企業自らが優秀作品を選ぶ「協賛企業賞」があります。60回目がスタートした今、昨年の第59回「宣伝会議賞」の受賞者と協賛企業担当者と一緒に振り返ります。今回は、サントリーの課題で「糸目の田中の目が開いた。」というコピーで協賛企業賞を受賞した園田高宏氏とサントリーの貫井直香氏に話を聞きました。
応募のきっかけは眞木準さん「四十才は二度目のハタチ。」
──園田さんは普段、旅行会社でグラフィックデザインをお仕事にしていらっしゃいます。なぜ、「宣伝会議賞」への応募を決めたのですか。
園田:眞木準さんのコピーである「四十才は二度目のハタチ。」という言葉を、自分の40才の誕生日に友人から送られたことがきっかけでした。そこでコピーの奥深さと「宣伝会議賞」を知り、挑戦してみました。
貫井:私は第59回から審査に携わらせていただきましたが、園田さんはいつから応募なさっているのですか?
園田:ちょうど10年前の第50回から挑戦しています。実は最初の応募で協賛企業賞を受賞したのですが、以降は二次審査通過が最高成績で。前回が久しぶりの受賞だったのでとても嬉しかったです。
貫井:10年前から!それ以降は毎年挑戦なさっているのですか?
園田:そうですね。一度に応募する作品の本数は多くなく、全課題であわせて20本いかないくらいなのですが、毎年応募を続けています。「宣伝会議賞」が始まる夏の終わりになると、どこかソワソワした気持ちになるんですよ(笑)。「今年も始まる!」という気分になります。
“糸目の田中”が気になる 候補作品の中で光って見えた
──サントリーの前回の課題は「THE STRONG天然水 スパークリング」でした。集まったコピーに傾向はありましたか。
貫井:毎年多くの作品が集まってきますが、今回多かったのは炭酸水の強さを音で訴求するコピーでした。例えば開栓時の「プシュ」という音や、炭酸が弾ける音を切り口としている作品が多かったですね。だからこそ、皆さんとは違う切り口から書かれていた園田さんの作品に目がとまったのだと思います。
──園田さんの受賞作品、「糸目の田中の目が開いた。」は音に注目されていません。どのように制作されたのですか。
園田:いつも「宣伝会議賞」のコピーを考えるのは通勤電車の中ですね。「糸目の田中の目が開いた。」を...