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経済学の視点

行動経済学者を悩ませる2つのバイアス

依田高典氏(京都大学大学院)

バイアスにかまけると長期的な効用を最大化できない

行動経済学とは、人間の限定合理性をありのまま見つめ、より良い行動変容へ誘導させようとする実践的な学問である。行動経済学における最適と現実の乖離を「バイアス」と呼んだ。行動経済学が巷で人気が出てくると、色々なバイアスが考案された。私もその全てをカバーできているわけではないが長年、研究を続ける中で、最も重要なバイアスは2つに尽きるのではないかと考えるようになった。それが、「現在性バイアス」と「確実性バイアス」である。

まずは、現在性バイアスから始めよう。次のような二者択一問題を考える。

第1問は「A.現在の10万円」と「B.1年後の11万円」、どちらを選ぶか。この質問に対して、多くの人がAを選ぶ。1万円多くても、1年待つのは嫌だからだ。

第2問は「C.1年後の10万円」と「D.2年後の11万円」。この質問には、多くの人がDを選ぶ。どうせ1年待つならば、1万円多い方が良いからだ。

第1問でA、第2問でDを選ぶのは矛盾している。両方とも、1年余計に待って、1万円余計にもらうかどうかを選択させているからだ。人間は「現在性」を特に重視するバイアスがあるために、忍耐できなくなるのだ。

次に、確実性バイアスを解説しよう。以下の二者択一問題を考える。

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