「コピーライターの役割をアップデート」する3つのポイント
☑自分の職能や守備範囲を超えて、アイデアやプロジェクトに対してフラットであること。
☑「信じる」と「疑う」を同時並行で、人に見えない速さ、細かさで往復する。
☑言葉のプロフェッショナルの眼と、素人の眼の両方を鍛える。
コピーライターが出くわす「とある重圧」
突然ですが、コピーライターにとって、自分の子どもの名前を決めるのは得体の知れない物凄いプレッシャーとの戦いだったりします。
「名前楽しみだね!コピーライターだもんね!」「どんな名前にするのー?いやぁコピーライターのつける名前楽しみだなぁー!」「さぞかしユニークなんだろうなぁ」これは少し大袈裟に書きましたが、これに近いニュアンスの言葉を何度かもらいました。子どもが産まれるタイミングでこういう声をかけられるコピーライター、少なくないと思います。
そんなプレッシャーのなか、我が家はどう決めたかというと⋯妻が寝る前にポロッと言った候補が「ぶっちぎりの凄い奴」だったので、それをそのまま採用することになりました。ちなみに妻は広告業界の人でも言葉を扱う仕事をしている人でもありません。
この名前の決め方、見方によっては非常にコピーライターらしからぬ決め方です。コピーライターが仕事をしてないように見えます。実際、周りの友人の多くは僕が発案者だと思い込んでいるので、この話を打ち明けるとみな驚きます。僕が発したのは天井を見ながら「んんんー⋯いいね!」というふんわりしたCDの相槌みたいなリアクションだけでした。
実は、その第一候補をキープした上で、いろいろと他の名前も考えて提案してみたのですが、どうもそれらがこの候補の順位を変えることができなかっただけなんです。
もちろん、なんともいえない不甲斐なさを感じつつ、とはいえとても気に入っていたので、それでいこう!と快く二人で決断しました。そしてその名前にしてよかったなぁと、幾度となく呼ぶその名前を呼ぶたびに思っています。
いや、え、何の話??と思われたでしょう。しかし、この感覚が今を生きるコピーライターのバランスのとれた自己認識としてベストなのかもしれないという話です。常に自分の職能や守備範囲を超えて、アイデアやプロジェクトに対してフラットであるべきです。そのために必要なスタンスについて、日頃考えていることを強引に文字起こししてみました。
たかが→されど→たかが→されど反復横跳びを繰り返す
「コピーライターとビジネス貢献」⋯ご依頼いただいたお題を見ると改めてゾッとするのですが、正直こんな大それたテーマに沿って語れるほどのキャリアでは全然ないので、具体的なその方法論はそのクラスのコピーライターの方の本や寄稿を参考にしていただくとして、あえて僕から何か言うとしたら、今回言いたいことは次のこの一行に尽きます。
たかがコピーライター、されどコピーライター。
どれだけ、コピーの強さを信じられるか。そしてどれだけ、コピーの無力さに絶望できるか。この矛盾した「たかが」と「されど」両方のスタンスを、どれだけ細かく、そして大胆に反復横跳びできるかが大切だというのが僕の考えです(2022年9月時点の)。
この「信じる」ことと「疑う」ことを同時並行で、人に見えない速さ、細かさで往復するスタンスは、あらゆるレイヤー、あらゆるカテゴリで物事を見るうえで応用できるものです。
具体的には、プロジェクトの冒頭で⋯クライアントのブリーフを信じる。と同時にクライアントのブリーフを疑ってみる。制作物が出来上がってきた過程で⋯これでいける!と...