「社会課題を解決」する3つのポイント
☑「社会的に伝える価値のある言葉」かどうかを考える。
☑さまざまな言葉にアンテナに張って、抱いた小さな違和感を掘り下げる。
☑「つくる力」の出発点となる、「気づく力」こそが大事。
伝える価値のある言葉は多くの人から応援される
世の中では昨今、SDGsが叫ばれている。DE&I(ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン)への取り組みも盛んだ。僕が社会課題に取り組み始めた2000年代初頭と比べると、時代は大きく変わった。
一方、そんな流れに合わせて、ブランドとSDGsをつなげて伝える広告メッセージや、企業の社会貢献を伝えるコミュニケーションも増えてきた。ただ、そんな時代の流れの中で、こんな疑問を感じているマーケティング担当者やクリエイターもいるはずだ。
社会課題とどれくらい関係性がある企業活動であれば、広告のテーマを社会課題にしても良いのか?もしかしたら、SDGsウォッシュ(うわべだけのSDGs)として批判されるのではないか?
さらに、SNSに目を向けてみると、ブランドが発信した社会的メッセージが、多くの方にシェアされていたりもする。SNS活用の方法論として「ソーシャルグッド」を挙げるマーケターやクリエイターもいる。
ブランドの社会的な活動の実態と、ブランドが発する社会的なコピーは、どれくらい接着していないとダメなのだろうか。
実は、ここに明確な答えはない(環境負荷が多いのに、負荷が少ないと伝えるような、間違った情報は論外だが)。
僕は、ひとつの判断基準として、「社会的に伝える価値のある言葉」かどうか、を置いている。
例えば、「我が社は、社会にこんな良いことをしています」というだけの言葉だと、それは「社会的に伝える価値のある言葉」とは言えない。でも、「実は、世の中には、こういう社会課題があって、みんなで解決していきたい」という投げかけなら、「社会的に伝える価値のある言葉」と言える。
後者であれば、どんな批判がきたとしても、「伝えるべきだという信念があった」と胸を張っていられる。そして、そういう言葉は、SNSでも多くの人から応援されることが多い。
潜在的な気持ちを言語化 コピーで、社会課題への気づきを
「実は、世の中には、こういう社会課題があって」というのは、なにも、マイナーな社会課題を取り上げることとは限らない。潜在的にみんなが思っていること、でも言語化できていない社会課題というのはかなり多い。広告という広く伝わる場でそういう課題への気づきを与える言葉を投げかけるからこそ、社会を良い方向に変化させられる可能性がある。コピーが持つ、社会課題を表面化させる力だ。
古くは、1970年代の富士ゼロックスの「モーレツからビューティフルへ」キャンペーンだろう。僕は、これが社会メッセージ型広告のルーツだと思っている。ヒッピー風の男性が「ビューティフル」と...