6月に過去41年間で最高インフレ率9.1%を記録したアメリカだが毎年、調査を行っているデロイト・トウシュ・トーマツは「2022年Back to School(BTS)市場は前年対比8%増になる」と予測した。ガソリンや食料の高騰などで米国民の財布の紐が堅くなっている状況下で、米国の各企業はどのような施策を行ったのだろうか。
アマゾン「アイテムは安く買おう」女優を起用したプライムデー・セールが記録的売上に
アマゾンは7月12~13日、恒例のプライムデー・セールを開催。女優で2児の母キャスリン・ハーンを広告塔に起用したテレビCMを中心に、SNSを含む大規模なキャンペーンを行った。30秒CMではハーンが学校の廊下を歩きながら「子どもにお金がかかるのは母親として理解できます。だから皆さんもアマゾンで安く買い物してください」と訴えた。
キャッチコピーは“Spend less. Smile more.(少なく使って、もっと笑おう)”で、「購入アイテムはすべて安く買おう」が訴求ポイントだ。また、アマゾンプライムのページでは俳優のニール・パトリック・ハリス、女優のミンディ・カリング、TikTokerのチャーリー・ダミリオなどが「BTSショッピングガイド」をつくり、コンピューター、衣服、文房具などおすすめ商品を紹介するなど効果をもたらした。
eコマースリサーチ会社eMarketerによると、USプライムデー2022は前年対比16.8%増の総額77.6億ドル(1兆320億円)と史上最高の売上を記録。アマゾンの公式発表では米プライムメンバーだけで毎分6万アイテム以上の購入があり、一般家電、家庭用必需品、化粧品、子ども服、文房具、コンピューター製品などが売れ筋とのことだ。
アマゾン出品業者の広告代理店エンヴィジョン・ホライゾンズは「昨年、供給不足だった割引商品が今年は多く出品できたこと、インフレ率が上昇しているので消費者が早めに購入を決めたこと、例年通りのプライムデーに戻り、インフルエンサーの事前活動が目覚ましかったこと」と分析している。
(1)アマゾン
中国発ECファッションブランドSHEIN、柱はインフルエンサー・プログラム
2008年に中国で設立されたSHEINは2021年、世界総売上157億ドル(前年対比60%増)のECファッションブランドに成長した。SHEINのマーケティングの柱は、インフルエンサー・プログラム。数百から数千のフォロワーを持つマイクロ・インフルエンサーに毎月アイテムを無料で支給し、定期的にSNSに投稿させる仕組みだ。中には...