メーカーなどの一般企業においても広告クリエイティブなどの専門職経験を持つ人が活躍するケースは多い。ぺんてるの菊池寛氏もその一人。デザイナーとして経験を積み、さらに「宣伝会議コピーライター養成講座」でコピーも学んだ同氏は、ビジネスのなかで「ことば」の力をどのように生かしているのだろうか。
ことばでコンセプトをつくる重要性に気づいた
──菊池さんはデザイナーとして経験を積んだ後に、メーカーである、ぺんてるさんに入社されたのですね。
はい。2008年にぺんてるにデザイナーとして入社し、販促物やパッケージのアートディレクションや、Webサイト、オウンドメディア、SNSの運営など、ユーザーとのコミュニケーションに関わる領域に携わってきました。
2021年からはグローバルEC事業本部のクリエイション課に異動しました。主な業務内容は、例えば1SKUごとの商品画像を大量に制作するにあたって社内に撮影室を完備しスピード向上したり、クリエイティブが実際のEC売上げにどこまで影響したか効果検証したり、メンバーと一緒に総合的にEC業務の向上を図っています。
──デザイナーでありながら「宣伝会議コピーライター養成講座」を修了されています。
当社では、デザイナーもマーケや企画の人と一緒に企画開発を行うケースが多かったんです。そのなかで、マーケティングやことばの重要性を磨いていかないとまずい状況になったため、手始めに宣伝会議のマーケター向け講座に通い、さらに専門性の高い「コピーライター養成講座」を受講しました。
双方の学びを得るなかで気づいたことが「ことばでコンセプトメイキングすること」の重要性でした。
商品企画開発に携わる社内の関係者は大変たくさんいます。当時、商品企画の意味づけを各セクションで様々に行ってしまうことが多々ありました。それぞれが主張したいポイントが状況や立場によって異なってしまい、なし崩し的に着地点が誕生するマーケティングやデザインが当たり前のようになっていたのです。
そこでまず、ひとことで言えるコンセプトを企画開発の川上に置いて、可能な限りすべての活動の着地点にできるような仕組みづくりを行いました。時間はかかりましたが、新製品を販売する際のこの工程が...