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宣伝担当者が知っておきたいクリエイティブの基本

「宣伝会議賞」に挑戦する人のための「正しい」あがき方

鈴木晋太郎氏(電通)

    広告クリエイティブ発想の極意

    ☑「人と被っていなさそうか」「自分に嘘はついていないか」を考える。

    ☑あがき方=発想法=クリエイターとしての個性。

    ☑制限をかけることで、他の人が考えないゾーンまで隈なくアイデアを探す。

万能の発想法はない。あるのは、あがき方。

いきなり残念なお知らせで申し訳ないのですが、広告クリエイティブに手っ取り早い万能の発想法は存在しません。自分はもちろんのこと、僕の知る限り、どんな一流のクリエイターもオリエンが来るたびに頭を悩ませ、何も思いつかない恐怖に苛まれながら、毎回かなりの時間を要してようやくアイデアに辿り着いているので、恐らくこれは間違いない事実だと思います。

でも、一朝一夕に習得できないからこそクリエイティビティには価値があるし、クリエイティブの仕事は面白いのではないでしょうか。なので、「宣伝会議賞」に応募される皆さん、効率的にイイことを思いつこうなどと考えず、自力でコツコツがんばってください。

と、無責任に終わらせることもできないので、今回はみなさんと同じ“アイデアを求めてあがく者”として、僕の思う“正しいあがき方”についてお伝えできればと思います。

ちなみに僕は、会社になかなかクリエイティブの適性を認めてもらえず、30歳になった入社して5年目にようやく今の職種に就くことを許された雑草系のため、やや泥臭いメンタリティであることをご了承ください。でも、その分、才能をやる気が凌駕しているタイプの人には、勇気の湧く内容になっていると思います。

人と違うことはなぜ大切か?いいアイデアなら被ってもいい?

さて、あがくと言っても、何も考えずただ闇雲にあがくのは、さすがに効率が悪すぎます。いくら泥臭いとはいえ、僕にもそのへんの分別はあります。「どこであがくのか」「どうやってあがくのか」は、あがく前に定めておいた方がよいでしょう。

まずは、「どこであがくのか」。少し話は変わりますが、今号の本シリーズのテーマ「人とは違う切り口が見つかる!発想力を高めるトレーニング」について。そもそもなぜ、“人と違う切り口を見つけること”が必要なのでしょうか?よいアイデアなら、人と被っても別によいのではないでしょうか?

もちろんその通りなのですが、実際、よいアイデアというのは不思議と被らないものなのです。僕もそこそこ、よい年次になってきたので、新入社員などのクリエイティブ課題の採点をする機会があるのですが、提出された課題は想像以上にアイデアが被りまくっています。そして、被っているアイデアは、押し並べてどれも面白くない。なぜか。それは、誰もが思いつくような“予測できるもの”を、脳はおもしろいと判断しないからです。心に響くアイデアは、“予測できるもの”の先にある、“思ってたんと違う”ゾーンにあるのです【図1】

図1 心に響くアイデアがある場所

答えは、予測可能と共感不可能の間にある。

じゃあ、予測できなければ何でもよいのかというと、そんなことはありません。“思ってたんと違う”の先には、“共感不可能”ゾーン、つまり、「予想はできなかったけど意味わかんねーよ」のゾーンがあります。予測可能ゾーンのアイデア同様、このゾーンにあるアイデアも、残念ながら心に響くことはありません。

この“思ってたんと違う”と“共感不可能”の境界を見分けることは、実はけっこう難しく、僕も未だによく間違えます。見分ける上での基準としては、“自分に嘘をついていないか。自分も本当に共感できるか”を考えるようにしています。同じ時代を生きる人は、多かれ少なかれ根底で感性を共有していると思うからです。

かなり長くなってしまいましたが、答えを探してあがくべき場所が、「予測可能と共感不可能の間」言い換えると「人と違っていて、自分に嘘のないゾーン」であることが分かってもらえたでしょうか。

あがき方にこそ個性が表れる 隅々まで隈なく探してあがく

広告クリエイティブの答えはひとつではありません。効果的なアイデアは無数に存在し得ます。なので、あがくべき場所が決まったら、最も有効なアイデアを見つけるべく、隅々まで隈なく探してあがく必要があります。このあがき方で、発見できる答えが決まるという意味では、あがき方=発想法=クリエイターとしての個性、と言えるのかもしれません。

アイデアを考えるのは脳の仕事です。

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