コンビニを出てすぐにまたコンビニがあり、さらに進むとまたコンビニに出会う。異なるチェーンならまだしも、数メートルの間に何軒も同じチェーンの店舗が並ぶ不思議な光景も珍しくない。そんな街中にある不思議を地理学の観点から紐解いていくのが『地理学で読み解く流通と消費 コンビニはなぜ集中出店するのか』である。
本書は、日本の流通と消費の現状について、地理的構造と地理的現象の2つの視点から分析したもの。地理的構造とは、日本の地域間における結びつきや関係性を意味し、地理的現象は経済・社会的な動向を意味する。主題を流通・消費に置きつつ、さらにそれを取り巻く経済・社会全般についても言及しているのが特徴である。
「地理学者による流通や消費の研究は、脱工業化した日本の実態を読み解いており、非常に興味深い議論がなされてきた」と著者の土屋純氏。これまでも地理学を取り入れた流通や消費といった、人々の生活に紐づく研究は盛んに行われていたが、一般的に紹介されることが少なかったことから本書を執筆したのだという。
1章ではまず、日本という国が、地理学的見地からどのような特徴があるかを網羅的に解説。それを踏まえ...
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