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ワールド・レポート

デザインと広告の最前線 D&AD賞発表

5月25日と26日の2日間にわたり、D&ADが各部門の受賞作品を発表した。1962年にスタートし今年で60年目を迎える本賞。世界各国のクリエイティブを代表する400人の審査員が参加し、審査が進められた。ペンシル受賞総数は702本。ここでは、最高賞のブラックペンシルはじめ5作品を紹介する。

01 Creative Transformation他:adam&eveDDB
医療最前線で働くスタッフと国民をつなぐ

Frontline19「Hopeline19」


イギリスで新型コロナウイルス患者に対する診療を行う、国民保健サービス(NHS)の約300万人のスタッフたち。彼らの5人に2人がPTSDに苦しんでおり、これは戦闘経験のある退役軍人にみられる割合の2倍にあたるという。

NHSをサポートする慈善団体である「Frontline19」が2021年9月9日、“Emergency Services Day”に立ちあげた「Hopeline19」は、国民と第一線で働く人たちを24時間365日つなぐ、無料の電話サービスだ。この番号に電話をかけて1を押すと人々は感謝のメッセージを残すことができ、2を押すとNHSや現場の職員がメッセージを聞くことができる。

「Hopeline19」を紹介するムービーは、ある看護師が、患者の家族に、患者が亡くなったことを伝えるシーンから始まる。そして医師や看護師、スタッフたちが、平穏な日常のふとした瞬間に、苦しむ患者の姿や厳しい現場の様子を思い出し、苦悩する様子が描かれる。

PTSDが表面化するのは、原因となる事象から1年から1年半後といわれている。パンデミックが落ち着き穏やかな日常が戻ったとしても、苦しみを抱える人々が取り残されてしまうのだ。Frontline19の創設者であるClaire Goodwin-Fee氏は、今すぐに、こうした状況を知ってもらう必要があると述べる。

同ムービーはテレビ、デジタル、映画館などで放映され、オーディオ広告やOOHも展開。また病院やその周辺ではよりターゲットを絞ったメディアを活用。医療現場で働く人々に対し、ロゴと番号をプリントしたマスクや手袋、ポスターが配布された。

BBCやタイムズ紙など各メディアで取り上げられた本取り組み。

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