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米国広告マーケティング事情

米企業はNFTをマーケティングにどう使っているのか?

松本泰輔

デジタル世界に新たな資産価値を供給し、昨年から話題沸騰の非代替性トークン(Non-Fungible Token:以下NFT)。端的にいうとNFTとは、代替不可能なブロックチェーン上で発行され、デジタル上で資産鑑定書や所有証明書を持つ、唯一無二のデータのことである。そして夏前に続々と大手企業がNFTを主体とするキャンペーンを発表し、話題となっている。

スポーツメーカーのプーマ、NFTカリスマクリエイターと提携

スポーツメーカーのプーマは6月27日、「世界的に著名なNFTショップ『10KTF』と提携し、その本拠地である仮想都市ニュートーキョーに入居する」と発表した。10KTFオーナーのWagmi-sanはNFT世界ではカリスマ的クリエイターとして知られる。仮想都市内にオープンしている店舗を通してプーマの新NFTコレクションの販売はもちろん、スポーツグッズの商品化まで視野に入れ、市場拡大を目指す。

同社チーフブランドオフィサーのアダム・ペトリック氏は「『実在社会で消費者と結びつくこと』と『実際の物理的商品をデジタル世界に持ち込む機会を消費者に与えること』をスポーツブランドとして考慮しなければならない」とヴォーグビジネス誌に企画意図を語っている。競合のナイキやアディダスはすでにメタバース(インターネット上で活動可能な仮想空間)へ深く浸透しており、プーマはライバルのあとを追ってNFT市場に参入する方針だ。

(1)プーマ

NFTカリスマ・クリエイターWagmi-sanとのコラボで実現したプーマのWeb3プロジェクト。ヴァーチャル都市「ニュートーキョー」に店舗を構え、NFTコレクションを提供していく。

大手百貨店メイシーズ、独立記念日花火大会に1万点のNFTをリリース

大手百貨店メイシーズは、昨年スポンサーを務める感謝祭パレードでNFTを提供し、好評を得た。そして今年は7月4日の独立記念日に、1万点のNFTを顧客やデジタルファンにリリースし、さらに大きな話題を集めた。ニューヨークの夏の風物詩である「メイシーズ独立記念日花火大会」のエグゼクティブ・プロデューサー、ウィル・コス氏は「全米最大の花火大会で独立記念日を祝うように、メイシーズはその楽しさを、デジタル社会に歓喜をもたらすWeb3(ブロックチェーン技術活用による権力分散型Web)の世界へ取り入れたかった」と発表した。

「エルメス、グッチ、ルイヴィトンなど高級ブランドが昨年から行っているように、リテール産業は顧客ロイヤルティ構築とブランド認知...

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