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REPORT

人々の『おいしい記憶』をつくるため キッコーマンが挑む『重層的メディア戦略』

澤村厚之氏(キッコーマン食品)

媒体の細分化により宣伝活動の手法は増えたが、それにより予算内での選択と集中を迫られる。そんな悩みを抱える企業広告の現場は多いだろう。キッコーマン食品では、広告投資の費用対効果の可視化に取り組み、解を導こうと模索している。同社の取り組みについて、宣伝担当マネジャーの澤村厚之氏が説明する。

3段階の効果検証で広告投資の選択と集中を図る

世界的な物価の高騰は今、世の多くのメーカーを苦しめている。老舗調味料メーカーのキッコーマン食品にとっても、原材料費高騰への対応は喫緊の課題だ。

「現在、キッコーマンでは広告投資における選択と集中が迫られています」と話すのは、同社宣伝担当マネジャーの澤村厚之氏。限られた予算で効率的なターゲットリーチを目指すには、生活者の変化を捉え、寄り添ったメッセージを届けることが重要だという。

「当社のマーケティング方針は、広告宣伝・販売促進・SNSを含むオウンドメディアでの情報発信活動を通し、生活者の“おいしい記憶”をつくるお手伝いをすること。そのためには、マス・リアル・デジタルを連携して、重層的にターゲットに届ける必要があります」と澤村氏。

現在の課題は「メディア接触の細分化が進んだことにより、施策の細分化も進んでいること」だという。この10年で宣伝担当者が選択できる施策も大幅に増えたため、先述の「選択と集中」についてデータを基に常に見直す必要があると考えを話す。

「データを活用した“広告投資の費用対効果の可視化”に取り組んで5年ほどが経過。データの活用、広告投資の視覚化には時間がかかるため、その点は課題と言えます」。

それでは同社では広告の効果検証をいかに行っているのか。澤村氏は「広告の効果検証では、“施策と売上が連動しているか?”を一番のポイントとしています。なぜなら、売上は誰にとってもわかりやすい“成果”だからです」と説明する。

具体的に同社では、広告の効果検証を、「①論点:施策と売上の連動の有無を検証」、「②論点の分解:広告が...

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