2014年11月に発足し、活動も8年目を迎えた「CMO X」。2年ぶりとなる参加者が一堂に介しての研究会を2022年6月2日に開催した。通算では30回目となる研究会だ。今回はアシックス、オルビス、三陽商会のマーケティング部門をリードする3名が集まった。

写真右から
アシックス
グローバル・マーケティング統括部
執行役員 統括部長
近藤 孝明氏
三陽商会
マーケティング・コミュニケーション部 部長
伊藤 直美氏
「CMO X」Founder
加藤希尊氏
オルビス
CRM統括部部長 松枝 奏輔氏
グローバルに戦うための“攻め”のマーケティング戦略
100社を超える企業のマーケティング責任者が集うコミュニティである「CMO X」は6月2日、30回目となる研究会を開催。今回はアシックス、オルビス、三陽商会の3社のマーケティングを担うメンバーが参加した。
研究会は、異なる業種で活躍する3名の参加者が自社の抱える課題を発表・共有することから始まった。日本発のスポーツ用品メーカーであるアシックスでグローバルマーケティングを担う近藤氏は、ここ15年ほどでアメリカやヨーロッパ市場での売上が急成長していると説明。その結果、同社の売上のうち、75%以上が海外の売上が占めるようになったという。
また、売上全体の半分以上が「ランニングに関わるアイテム」であり、中でもフルマラソン完走や走破タイムの向上を目指す競技志向の強い上級者向けのアイテムが好調だ。
一方で世界的に見てランニングの市場は、シューズだけなどの単体の販売ではなく、複数プロダクト・サービスを組み合わせたカスタマイズ提案が求められるようになってきているという。「一人ひとりのランナーに合わせたサービス提供が不可欠だ」とも語る近藤氏。カスタマージャーニーに沿って志向・目的でパーソナライズされたサービスを展開する“攻め”のマーケティング戦略が重要であるのだという。
また日本市場においては独自の課題があるという。それが「日常的に運動をする」人口が減少してきていることだ。これは欧米マーケットとは異なる日本の特徴だという。
だからこそ、スポーツが提供する価値自体の発信にも注力しているアシックス。例えばグローバルで運動と心の健康の関係性に関する調査「SOMI (State of Mind Index)」を実施するなどしている。この調査結果から得られた「ポジティブな精神状態を維持するためには運動が不可欠」「15分9秒の運動が非常に重要」という結果を基に個人や自治体に向けて訴求していることを紹介した。