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宣伝担当者が知っておきたいクリエイティブの基本

動画広告の企画で必要な「メディアの空気を読む」という意識

小島翔太氏(博報堂)

    動画広告の極意

    ☑それぞれの動画メディアの先にいる視聴者の特性の違いを把握する。

    ☑テレビでもデジタルでも、目に見えてわかるアクションを喚起することを目標にする。

    ☑まずはそれぞれのメディアの空気を読む。あえて外すのは場の空気を理解してから。

どんな人がどんな態度で見ているメディアなのか理解する

今回、私に期待されているのは「動画広告のクリエイティブディレクション」とのことなのですが、このような誌面で偉そうに語る身分でもないので緊張しています。が、勇気を出して書きます。

動画広告と言ってもそれがテレビCMなのかWeb動画なのか。Web動画だとしてYouTubeなのか、それともTikTokなのか、もしくは屋外広告なのか。掲出するメディアや届けたいターゲットによってお作法が異なっており、メディアの多様化が進む今、ますます複雑化していると毎日の仕事を通して感じます。

それでは、そんな複雑化した環境で、僕が、一番大切にしていることは何か。それは各々のメディアが、どんな人にどんな態度で見られているのかをきちんと把握しておくことです。

例えばテレビCMであれば、世代によっても差があるとは思いますが、やはり“ながら見”に最適なメディアかつ、自分でコンテンツを見るために“わざわざ”行動しているという感覚が薄いメディアです。なので、CMを視聴することに対する違和感を持ちづらいと感じます。これは僕たち視聴者側のテレビに対する慣れによるものかもしれません。

一方で、例えばYouTubeの場合は、自らコンテンツを探して見たい動画を検索したり、指名して動画を見ているので、自分が見たいと思ってタップした動画に広告が挟まってくることになります。そうすると、コンテンツの視聴を広告にお邪魔されている感が強くなる。

そういう意味でいうと、同じテレビ番組を見る場合でもTVerで視聴する場合は、“ながら見”ではなく番組を選んで指名で視聴するので、広告が出てきた時のリアクションはテレビよりもYouTubeでの動画視聴態度に近いと感じます。

また、例えばTikTokの場合は同じWeb動画ですが、コンテンツを指名で見に行くというよりは暇潰しに面白い動画をザッピングしている感覚なので、個人的にはテレビを見ている時の態度に近い感覚です。

ただ、TikTokはかなり年齢層が絞られたテレビなので、広告もしっかりターゲットの興味のあるお作法に合わせないとトンマナが浮いてしまいます。なので、テレビCMをそのままTikTokに流用してもうまくいくパターンは少ないのではないかと感じます。そもそもTikTokは縦型ですしね。

今後、大幅に拡大すると言われているCTVなどもテレビよりもYouTubeやTVerで動画を見ている時の広告リアクションに近くなるのではないかと思います。

ユーザーの視聴データなどが活用できることによって、素材の出し分けやターゲティングの精度が上がるとは思いますが、根本的に何を見るかを視聴者が積極的に選んでコンテンツを選択して画面を見ている状態になることが多いと思われるので、好きなコンテンツの間に挟まってくる広告への態度に近くなると思います。

なので個人的に感じているのは、従来のような動画広告としてコンテンツの間に出す形を取るのではなく、コンテンツへのプロダクトプレイスメントのような過去にあった流れが、さらにアップデートされた形でやってくると面白いなと感じています。実際、韓国ドラマなどはかなり露骨にプレイスメントしていますが、コンテンツそれ自体との相性や面白さで成功を収めているイメージがあります。

図1 各メディアデバイス、プラットフォームの視聴特性

見ている人が何かリアクションしたくなるものを

僕が企業の方から動画広告のオリエンテーションをしていただく場合、たいていはテレビCMがあるのかどうかというポイントぐらいで、それ意外のWeb動画の場合はYouTubeなのかTikTokなのかTwitterなのかという指定があることはほとんどないように感じます。

ただ、オリエンテーションの時点でいただいたターゲットがメディアをやや規定することはあります。例えば学生がターゲットになる場合、今だとTikTokを全く考慮せずにプランニングすることはあまりないと思うからです。

また、僕は社内の若手で「CREATIVE TABLE 最高」という...

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