ファミリー企業は「同族経営」や「家族経営」とも呼ばれ、日本ではネガティブなイメージを持たれやすい経営形態である。しかし、近年は環境変化への順応性や競争力の高さから、そのあり方が見直され始めている。
本書『ファミリー企業の戦略原理』では、そうしたファミリー企業の知られざる経営戦略を解き明かし、強さの源や戦略的特徴をつまびらかにすることで、バブル崩壊以降低下した日本企業、とりわけ非ファミリー企業の復活へのヒントについて模索する。
著者である早稲田大学大学院の淺羽茂教授と山野井順一准教授は、ファミリー企業の特徴について次のように話す。
「例えば新製品開発よりも既存製品を大切にする傾向があり、頻繁な新製品導入が必要な市場では、既存製品の製品カテゴリーに新製品を集中投入し、ブランド・アンブレラによって対応しています。その他にも、設備投資や研究開発、国際化についての定量的分析などから、継続性を重視する戦略原理が浮かび上がってきます」。
継続性を重視する傾向があるため、国内外において長寿企業が多いのも、ファミリー企業の特徴。また、ファミリー企業は高い成長志向を有しているという傾向もみられた。だからこそ...
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