放送事業者が将来取り組むべき「攻め」と「守り」の戦略
総務省の有識者会議「デジタル時代における放送制度の在り方に関する検討会」は6月24日の会合で検討結果をまとめた。総務省は同28日から「デジタル時代における放送の将来像と制度の在り方に関する取りまとめ(案)」として意見募集を行った。
同検討会は昨年11月から計12回にわたり開催し、社会全体でデジタル化が急速に進展する中での放送の将来像や放送制度の在り方について、特に地上テレビ放送に係る課題を中長期的な視点から検討。①デジタル時代における放送の意義・役割、②放送ネットワークインフラの将来像、③放送コンテンツのインターネット配信の在り方、④デジタル時代における放送制度の在り方─の4論点の検討を行ってきた。
昨年末から今年3月にかけては、主に放送制度の検討を行い、「マスメディア集中排除原則」や放送対象地域などについて、柔軟な見直しを図るべきと提言を論点整理としてまとめた。3月以降は、地上テレビの放送ネットワークインフラの将来像の検討を集中的に行い、このほど検討結果全体を取りまとめた。
取りまとめ案は、4論点を5章にまとめ、放送事業者が中長期的な経営戦略として取り組むべき「攻め」「守り」の2本の柱にまとめた。「守りの戦略」としては、デジタル技術の導入等によって放送ネットワークに係るコスト負担を軽減し、コンテンツ制作に注力できる環境づくりについて提言。「攻めの戦略」として、取材や編集に裏打ちされた信頼性の高い情報発信により、「社会の基本情報」の共有や多様な価値観に対する相互理解の促進といった放送の価値を今後も持続的に維持・発展させていくことを目指すべきと提言した。