次世代を担う若手マーケター・クリエイターを紹介する本連載。新たな時代を担うホープたちはどのようなポテンシャルを秘めているのだろうか。今回は湖池屋 マーケティング本部で活躍する小林重文さんに話を聞いた。
これまで挑戦したことのない逆方向のリブランディング
湖池屋を代表するブランド「スコーン」は2022年に発売35周年を迎え、3月にリニューアルを行った。味、食感、広告クリエイティブなど、ブランドを取り巻くすべてを一新するフルモデルチェンジだ。このリブランディングに携わったのが小林重文さん。「カラムーチョ」や「すっぱムーチョ」といったムーチョブランド、そして先述の「スコーン」のブランドマネージャーとして活躍している。
「それまでの『スコーン』は、ジャンキーな食べ応えと味の濃さだけが価値になっていました。2019年にもリニューアルを行ったのですが、当時はその良さを強化する方向性で実施しました。でもうまくいかず。今回はどんな方針でリブランディングをするか考えたとき、これまでとは違う“逆方向”に振り切ることになりました」(小林さん)。
湖池屋の調査によると、お客さまがスコーンに求める価値は、ちゃんと肉やチーズ素材本来の味がしっかり濃いこと、なのに軽くて飽きずに食べ続けられることだとわかったという。そこで、小林さんは「軽さ」に注目。軽快な食感、かつ濃厚な味わいのスコーンを目指し、プロジェクトを進めたと話す。
「軽快さと濃厚さのバランスをとるのには苦心しました。これまで誰も挑戦してこなかったコンセプトでのリニューアルなので、社内進行や外部との調整には...