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米国広告マーケティング事情

米動画配信サービスが提供する新たなプロダクトプレイスメント

松本泰輔

これまでネットフリックス、アマゾンプライム、フールーなどの動画配信サービスでは、番組前後に一部挟まれる広告(ネトフリは広告なし)に加えて、番組中に広告主の商品やサービスが登場するプロダクトプレイスメント(以下、PP)が盛んに行われてきた。ここ数年、ディズニー・プラス、アップルTV、ピーコック(NBC)など新たな動画配信サービスが市場参入し、競争が激しくなる一方、広告主へ提供するPPや番組タイアップなどのマーケティング機会も徐々に拡大しつつある。

アマゾンプライムビデオ ヴァーチャル製品プレイスメント導入を発表

アマゾンは5月に開催された媒体バイヤー用イベント“2022 IAB NewFronts”にて「試験的に1年間行ってきたヴァーチャル製品プレイスメント(以下、VPP)を、本格的に開始する」と発表した。従来のPPは、撮影前に数カ月間の交渉を経て決定したあと、現場で商品を置いて撮影されるものだが、VPPは撮影後に商品をCGで映像に挟み込むもの。「PP自体は新しい手法ではないが、VPPでは全体のプロセスを簡素化し素早く実現できる」とアマゾンの広告セールス担当副社長アラン・モス氏はNewFrontsで述べた。

またVPPでは、ある一定期間後に別の製品に差し替えることもできるため、広告枠を再利用することが可能になる。アマゾンはVPPを試した企業は商品好感度が6.9%アップし、キャンペーン後の購入興味が14.7%上がったと同会議で述べ、同社が所有する無料動画配信アプリFreeveeでもVPPを提供すると発表した。

2年前に動画配信を開始したNBC系列のピーコックも「番組制作後にCG広告を挿入するサービス“In−scene Ads”を供給する」とNewFrontsで発表した。ピーコックの親会社、NBCユニバーサル社の社長ローラ・モーレン氏は「我々はマーケティングパートナーのために、新しくインパクトのある商業的革新を常に開発していきます」と述べるなど広告主の高い需要に応える姿勢を見せた。

(1)アマゾンプライムビデオ:VPP

アマゾンプライムビデオが提供する「ヴァーチャル・プロダクトプレイスメント(VPP)」。撮影終了後に画面左上枠内に企業のポスターなどをはめ込む。

(2)ピーコック:In-scene Ads

アマゾンと同様のサービス、ピーコックの「In−scene Ads」。ある一定の時間を置けば、ほかの広告に差し替えることも可能。

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