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経済学の視点

私たちは情報を食べている?

友野典男氏(明治大学 大学院)

「情報」はおいしさだけでなく食べる量まで左右する

SNSや口コミで評価の高いお店の食べものはおいしく感じるし、レストランの雰囲気や一緒に食べる人によっても感じる味は変わる。おいしいものをつい食べ過ぎてしまうことはよくあるし、たいしておいしくないのに食べ過ぎてしまうこともある。いったい、おいしさはどのように決まるのだろうか?食べる量はおいしさとお腹のすきぐあいだけで決まるのだろうか?

私たちの食行動は、「情報」に大きく影響されていることがわかっている。おいしさの評価も食べる量も情報に左右されている。「情報」を食べていると言ってもよいくらいだ。ところが多くの人は、自分は客観的に味を評価できるし、満腹になったら食べるのをやめていると思っている。

アメリカの食行動の研究者ブライアン・ワンシンクは、人間のおいしさの評価や食べる量の決定がいかに情報に左右されているのかを、さまざまな実験研究によって明らかにしている(『そのひとクチがブタのもと』集英社)。

ワインのおいしさの評価が値段によって左右されるというのはよく知られているが、影響するのは値段だけではない。アメリカで行われた実験では、まったく同じワインを、ワイン不毛地である...

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