人間の生活に欠かせないと言われる「衣食住」の3つ。アパレルや食事ではEC強化やメタバース進出などのDXが進んだが、住宅においては実現が少ないという現状があった。今年4月に住宅業界で初めてメタバース住宅展示場を公開した大和ハウス工業に、その手ごたえや営業の現場において肌で感じることを聞いた。
担当者からの説明がない内覧は お客さまもニーズが不明確
住宅業界でも営業のDXは推進されている。コロナ禍では戸建住宅の接客や販売もオンライン化が進み、システムの整備や営業体制の強化が必要になった。そんな中で大和ハウス工業は4月28日、「メタバース住宅展示場」を公開した。住宅業界では初の試みだ。
メタバース住宅展示場での顧客とのコミュニケーションは、営業の担当者が実際にアバターを用いる形で実施。リアルでの展示場見学のように、担当者の説明を聞きながら仮想空間上の住宅展示場を自由に見て回ることができる。VRヘッドセットだけではなく、パソコンやタブレット、スマートフォンのなどのデバイスからの参加も可能だ。
今回のメタバース住宅展示場の運営、営業に携わっているのは住宅営業本部 マーケティングコミュニケーション室。同部の宮本由香氏は、コロナ禍における営業・接客には「人の介在が不足していた」と話す。
「コロナ禍ではバーチャルを活用した立体的な住宅見学機会を提供する企業も増加しました。しかし、これはお客さま自身で見学してもらうもので、担当者からの解説はない状態での内覧である場合がほとんどです。ここには営業担当者という“人”の介在が不足していました」(宮本氏)。
住宅の購入は一生に一度である生活者がほとんど。お客さま自身も住宅を購入するにあたっての譲れない条件がわかっていないケースも多いという。
「このような問題に対しても、メタバース住宅展示場が解決策になっていると感じます。営業担当者がいれば、お客さまのニーズも探ることができますし、お客さま自身も自分の住宅購入における条件をクリアにすることもできます。どれだけ技術が進んでも、やはり営業に大切なのは人と人とのコミュニケーションなのだなと感じています」(宮本氏)。