ビームスでは顧客接点の「オムニチャネル化」を推進している。ここではチャネルやツールのデジタル化やECの強化にとどまらず、販売員である“人”のオムニチャネル化も掲げられている。リアルとデジタルの融合が欠かせない時代ではどのような接客や販売員が求められるのか。オムニスタイルコンサルタントとして活躍する隈元楓氏に現況を聞いた。
スタッフ投稿経由の売上は6割超 商品も自分も好きになってもらう
営業の現場でDXが進んでいるのはBtoB企業だけではない。デジタルツールを用いたオンラインチャネルでの営業や接客もBtoC事業を展開するさまざまな業界で主流になりつつある。
国内外に約170店舗を展開するセレクトショップのビームスもコロナ前からEC領域を強化。「販売員のオムニチャネル化」を推進してきた。
販売員のオムニチャネル化とは、スタッフを通じて顧客のリアル店舗とECの相互的な行き来を促進するもの。ビームス公式サイトと自社ECサイトの統合を行った2016年に、店舗スタッフが個人(アカウント)を持ち、サイト上でコーディネイトやブログを行う「スタッフ投稿」機能を付与したことで、店舗で顧客を持つ人気スタッフの活躍がEC上にも拡張。スタッフ投稿を見た顧客がリアル店舗を訪れるなど、シームレスなリアルとオンラインの体験の融合が実現しつつあった。
スタッフ投稿を経由した売上が自社ECサイトの売上において6割を超えるなか、2020年には「スタッフ投稿」で実績をもつ店舗スタッフ約10名を中心に「オムニスタイルコンサルタント」を発足。その翌年の2021年には店舗、ECを管轄するカスタマーエンゲージメント本部に「オムニスタイル課」を設立し、リアル店舗とオンラインを行き来する新時代に対応する販売員を稼働させている。
オムニスタイルコンサルタントの業務は、実店舗での接客やライブ配信などの対人的なコミュニケーションを伴う接客。その他、ブログやSNSの更新、YouTube動画の企画・制作、出演など、オンラインとオフラインを問わずあらゆる顧客接点でのコミュニケーションだ。
また、オムニスタイルコンサルタントには3つのランクがある。隈元楓氏は最上位のオムニスタイルコンサルタントのひとりだ。あらゆるチャネルでの接客、投稿やオムニスタイルコンサルタントの勉強会など人材育成も行っている。
「よくリアルでの接客とオンラインの接客の違いについて質問を受けます。実店舗での接客は1対1...